で、大学で働く人の「キャリア形成」は?

■労働市場の変化、若者の雇用問題を解説
 (2010年2月14日『読売新聞』>地域>栃木)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/news/20100213-OYT8T01274.htm
◆第9回 宇大・読売共催講座
(【写真】講演する末広教授(宇都宮大で))
 宇都宮大学と読売新聞宇都宮支局が共催する公開講座「ここで 地域とつながり 世界に発する」が13日、宇都宮市峰町の宇都宮大学峰キャンパスで開かれた。第9回は、同大キャリア教育・就職支援センターの末広啓子教授が「働き方の多様化とキャリア形成支援~そして、大学は今~」と題して講義を行い、約150人が受講した。
 末広教授は、労働省(現厚生労働省)で、約30年雇用問題に取り組み、現在は大学でキャリア教育を教えている自身の経験から、日本の労働市場の変化や若年者の雇用問題、キャリア形成支援が求められる理由と課題について分かりやすく解説した。
 末広教授によると、経済のグローバル化や、景気の悪化で労働市場が多様化している。企業は、能力が高ければ外国人でも女性でも積極的に採用するようになっている。一方、企業が経営の効率化を進めた結果、非正規労働者が増えており、2008年には全労働者の3割を超えた。こうしたことから、正社員になりたくてもなれず、フリーターやパート勤務を余儀なくされる人が増えているが、正社員との賃金格差などが大きい。「いったん非正規労働者になると、企業での職業能力の開発も正社員に比べて行われにくい点も大きな問題」と指摘した。
 多様化する労働環境の中で、企業でも学校でも、自分の働き方・生き方を設計し、必要な能力を身に着ける「キャリア形成」が重要になっている。だが、末広教授は「学校では進路指導が卒業前に行われるだけで、家庭でも働くことについて話すことが減っている」と説明。「大学も全入時代を迎え、どういう人材を社会に送り出すかが問われている。キャリア教育は学校挙げての取り組みが必要」と述べた。そのうえで「学校は地域や産業などの人材を様々な形で活用するなど、地域や社会を挙げての対応が必要だ。家庭でも子どもや孫に自分の経験を伝えてほしい」と呼びかけた。
 受講した佐野市富岡町、主婦宮坂たけ子さん(52)は、「働くことの意義や、将来を考えることの大切さを家庭でも伝えていきたい」と話していた。▲

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