『「格差」の戦後史――階級社会日本の履歴書』(河出ブックス/1260円)

■今週の本棚:中村達也・評 『「格差」の戦後史--階級社会日本の…』=橋本健二・著
 (2010年2月14日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/enta/book/news/20100214ddm015070017000c.html
「[……]しかし、著者も指摘しているように、非正規雇用者を単純に労働者階級として一括できるものなのかどうか。八〇年代初めから増加し始めた非正規雇用者比率は、バブル期にはやや足踏みするが、九〇年代後半からは急ピッチで上昇。かつて非正規雇用といえば、学生アルバイトや女性パートが中心だったのだが、現在では家計の柱である男性労働者が増えて、男性雇用者全体のほぼ二割にも達する。
 前出のSSM調査(〇五年)によれば、正規労働者の平均個人年収が三四七万円であるのに対して、非正規労働者は一五一万円にすぎない。単なる下層とは区別される「アンダークラス」が大きな固まりとして析出されて、今やその数は一五〇〇万人を越えている。しかも、こうした層が固定化して世代を越えて受け継がれているとすれば、単なる格差ではすまされない階級構造としての視点がやはり不可欠だというのである。」

0 件のコメント:

コメントを投稿