■派遣労働者ら危機感 「例外」改正など求め決起
(2010年2月9日『大阪日日新聞』)
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/100209/20100209019.html
労働者派遣法の改正をめぐり、仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」の原則禁止などを盛り込んだ労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の答申に対し、大阪では労働組合や法律家たちから「抜け穴だらけ」と懸念を示す声が広がっている。実効性のある内容を関係機関などに訴えるため、緊急集会を開きながら団結の動きを強めている。
(【写真】集会で派遣法の抜本改正を訴える労働者ら=1月29日、大阪市北区)
■同等以上の待遇を
「直接雇用、GO!有期雇用、NO!」。1月29日、大阪市北区で開かれた集会で、参加した労働組合員や法律家ら約400人が気勢を上げた。
大阪を中心に活動する11の法律家団体が共催で開いた集会。労働法をめぐる共同集会としては過去最多の共催団体数だったという。昨年12月の答申が、派遣法改正案の前提になることに危機感を抱き結束した。
答申では、雇用が不安定な登録型派遣は最大5年の猶予を設けて原則禁止。製造業への派遣については、雇用契約や雇用見込みが1年を超えることが目安の「常用型」を除いて禁止。派遣先が、違法と知りながら派遣社員を受け入れていた場合、直接雇用を申し込んだとみなす制度(みなし雇用制度)の創設などを盛り込んだ。
集会ではそれぞれの問題点を指摘。派遣労働の実態に詳しい脇田滋龍谷大教授は、専門性が高いとして登録型禁止の例外にされている26業務について、「事務用機器操作とファイリングの2業務だけで約48万人いる。専門業務の名の下で正社員が減らされている」と例外の見直しを訴えた。
また、常用型が実質的には有期雇用として雇い止めに遭っている点を踏まえ、その定義を「期間の定めのない雇用」とするよう強調。賃金格差などをなくす均等待遇や団体交渉応諾義務など、派遣先の責任強化の明記を求め、「不安定な立場の派遣労働者には正社員と同等以上の保障をしてしかるべきだ」と力を込めた。
■のろしを上げろ
こうした指摘は、審議会でも労働者代表委員から指摘されたものもあるが、使用者側の意向が反映されているのが現状だ。
大阪労働者弁護団の大川一夫弁護士は、みなし雇用制度でも「違法性と知りながら」の要件について「重大な欠陥。法律に不勉強で無認識な使用者ほど免責される」と批判。
集会では、客観的に見て違法派遣の場合は例外なく制度適用することなど、実効性のある抜本改正を政府や国会議員らに求めるアピール文を採択した。
一方、1月19日には、労働組合らが主催する集会が大阪市中央区で開かれ、おおさかユニオンネットワークの垣沼陽輔代表は「施行が最大5年まで先延ばしされては、いま現場で働いている労働者の生活を守れない」と強調。「世論任せにせず、大阪でも抜本改正を求めるのろしを上げ、自分たちの権利を拡大していこう」と訴えた。
現在、労働組合を中心に約30団体の連携にこぎ着けており、議員への要望行動など、積極的な運動を展開し続ける構えだ。▲
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