「なくそう!官製ワーキングプア ~第2回反貧困集会~」

■公務員の雇い止めなくせ 非正規職員らが集会
 (2010/05/30 18:52『共同通信』)
http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010053001000479.html
低賃金で不安定な雇用状態に置かれている国や地方自治体の非正規職員の待遇改善を求める集会「なくそう! 官製ワーキングプア」が30日、都内で開かれ、国の非正規職員に対して導入の動きがある任期付き雇用に対し「雇い止めにつながる」とする反対アピールを採択した。
「日々雇用」と呼ばれる国の非正規職員は約2万5千人いるが、省庁などで補助的な事務に従事しており、フルタイムで勤務できるのに雇用契約は1日単位と不安定な立場に置かれている。
このため、人事院は最長で3年間勤務できる任期付き雇用制度を近く導入する方針だが、アピールは「(職員を)3年で使い捨て、失業に追い込むシステムとなる危険性が高い」と批判。1日雇用は廃止する一方で、任期を縛らない制度にするよう求めている。
集会には、全国から非正規職員ら約260人が参加。地方の参加者からは「国の動きに呼応して自治体の雇い止めも加速するのではないか」と懸念の声も出た。▲

■報告:「なくそう!官製ワーキングプア」第2回反貧困集会
 (Last modified on 2010-05-31 21:56:19 レイバーネット日本)

「特約付きで無期の雇用契約を結ぶ新しい正社員類型」

以下の記事、まず、タイトルがおかしいと思います。意味不明。
「特約付き」「正社員」という構想、契約終了の要件がちゃんと「客観的に合理的な理由」のみに限定されるのか(拡大解釈されてなし崩しにならないか)、次の就職までの生活保障がちゃんとセットでなされるか、が問題になると思います。

■【少子化連続インタビュー】(2・下) 佐藤博樹・東大教授 雇用の安定へ有期契約の正社員を
 (2010.5.23 07:00 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100523/plc1005230701004-n1.htm
▼(1/3ページ)
(【写真】佐藤博樹・東大社会科学研究所教授(桑原雄尚撮影))
【静かな有事・特別編】
 不安定な雇用に置かれる若者の増大は、未婚化に拍車をかけ、結果として少子化につながる。東大社会科学研究所の佐藤博樹教授は、企業が正社員をたくさん抱えられない時代の到来を指摘する。
 --不安定な雇用の若者が増えた
 「まずは雇用の量が増えないといけないのだが、正社員化で解決するかというとそう単純ではない。20年前に比べて一時的に雇用される非正規の数は今も昔もあまり変わっていない。増えているのは雇用が継続されている『常用非正規』だ。有期契約だけども仕事が続いている人たちが増えている」
 --なぜ増えているのか
 「例えばパートが典型。1年契約だが勤続5年や10年が多数いる。ではなぜ正社員にできないのか。パートはある特定の店舗で雇用されているわけだが、いつかこの店舗を閉める可能性がないとはいえない。もし無期の正社員にすると店舗を閉鎖するときに他の店舗に移動させないといけなくなる。つまり、正社員にするということはかなり長期の雇用関係を前提にすることになるわけだ。仕事の内容が変わっても、勤務する場所が変わっても雇用を維持することが会社に求められるが、そうした人材をたくさん抱え込めない時代になっている」
 --時代が変わったのか
 「経営環境の不確実性が高まり、経営の将来に関しての予測が立たなくなっている。そのため、長期の雇用関係を前提にして人材育成する正社員を最低限に絞り、足りないところを有期契約の社員や派遣などの外部人材の活用で対応することになってきている。ただ、有期契約の社員にもその店舗や仕事がある限りは長く勤めてもらいたいと企業は考えている。そのため『常用非正規』が増えている」
 --もう少し詳しく
 「こうした『常用非正規』の雇用の安定化のために、私は『特約付きで無期の雇用契約を結ぶ新しい正社員類型』を提案している。どういうことかというと、無期雇用だが店舗限定や業務限定の雇用で、店舗や業務がなくなったときには契約を解除できるような雇用契約だ」
▼(2/3ページ)
 --景気の影響は
 「正社員化という議論だけでは解決しないということだ。何で企業が非正規を増やしたかというと、安く人を使いたいとか景気が不安定だからではなくて、市場環境の不確実性の増大が原因だ。人材活用に関して予測が立たなくなっている。今この商品が売れていても5年後も売れているかは分からない。そうすると長期の雇用関係を結んで、自社で育成する人をそんなに抱えられなくなる」
 --この状況は続くのか
 「不確実性の増大は景気が回復しても続くだろう。市場環境が変化することは分かるが、どう変化するかが分からないから、長期の雇用関係を前提とした正社員はいざというときにも抱えられるように絞り込む。同時にそういう不確実な事態が起きても対応できる汎用性のある能力を持つ人でないと長期の雇用関係は結べなくなる。他方で、ワーク・ライフ・バランスが実現しにくい従来型の正社員の働き方を希望しない人も増えている」
 --今後、労働力人口が減るが
 「正社員と非正規の比率はあまり変わらないだろう。しかし必ずしも非正規イコール不安定というわけではない。正社員の働き方がいいかというと、いつも転勤して残業しているのがいいのかという話になる。ワーク・ライフ・バランスからいえば問題なわけで、減らさないといけない。他方、業務限定や店舗限定で定年まで雇えというのはなかなか難しい。店舗がある限りあるいは業務がある限りの雇用保障はできるが、そのバランスが重要だ」
 --民主党の少子化施策の評価は
 「全体のバランスでいうと、今度のビジョンも経済的支援、保育サービス、働き方の3つが柱とされているが、実際の施策を見ると、現金給付という子ども手当に財源の配分が偏っている。問題は保育サービスの財源がどうなるかだ」
▼(3/3ページ)
 --子ども手当については
 「子ども手当は1万3千円で、残りの1万3千円分(の財源)を保育サービスなどの現物給付に回すのが現実的だろう。この1万3千円分で必要な保育サービスの拡充などに必要な予算を十分カバーできる」
 --高校無償化は
 「公立ならば高校の学費はそんなに高くない。高いのは大学と保育園・幼稚園。大学の授業料がこんなに高いのは先進国でも珍しい方だ。ヨーロッパはイギリスを除けばだいたい無料だ。イギリスもサッチャー政権までは無料だった。アメリカは別だが、代わりに奨学金が多い。日本では学生の親に依存している」
 --ポイントがずれている
 「社会で子供を育てるという考え方は悪くないが、資源配分をバランスよくしないといけない。少子化対策は総合的にバランスよくやらないといけない」
 --このままやるとどうなる
 「配偶者控除をなくさなかったから、現実の施策を見ると、『女性は子供をたくさん産んで家にいろ』ということになるだろう。政策的にそっちに誘導しているといわれてもしようがない。子ども手当の導入に合わせて配偶者控除をなくすのならばよかったが、残してしまった」
 --その一方で女性の社会進出を主張している
 「そんなのは無理だ。意図とは別に、結果的にそういうふうに日本社会を持っていこうと思われてもしようがない」▲

「男性の非正規雇用労働者では、45・7%が失業の恐れを感じていた。」

■労働者生活調査:家庭の4割「赤字」 失業不安が増加
 (2010年5月19日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100519ddm012040003000c.html
 ◇食事減り、税金払えず、医者行けず
 労働組合系のシンクタンク「連合総合生活開発研究所」は、世帯収支が赤字の家庭が約4割などとする、4月に実施した労働者の生活調査結果を公表した。今春闘は多くの労組がベースアップゼロで終結したが、400万円未満の収入では6割が赤字になるなど、労働者の厳しい暮らし向きが浮かんだ。【東海林智】
 調査は01年から春と秋の年2回実施。今回は年齢や雇用形態を基に、首都圏と関西圏の900人を対象に調査し、573人から回答を得た。
 1年前に比べ賃金収入が「減った」と答えた人は35・6%で前年春調査より3・5ポイント増加。「失業不安を感じる」とした割合も23・9%で前年比0・4ポイント増加し、春調査分としては過去最高となった。特に男性の非正規雇用労働者では、45・7%が失業の恐れを感じていた。
 3年ぶり2度目の世帯収支調査では、収支が「赤字」との回答は38・7%で、前回比16・7ポイント増と大幅に増加した。特に、年収400万円未満では60・4%と赤字世帯が半数を超えた。
 回答者全員にこの1年間の状況を尋ねる質問では、「支出を控えている」とした人が7割を超えた。具体的には、「食事の回数を減らした」(6・5%)や「税金など払えず」(5・2%)、「医者にかかれなかった」(4・7%)などの苦境が挙げられた。非正規雇用の男性では20%が食事を減らし、31・4%が税金などを払えないとした。
 連合総研は「賃金が上がらず、家計が赤字となり支出を抑え、内需が冷え込むという負のスパイラルが表れている」と分析している。▲

『なくそう!官製ワーキングプア』

■官製ワーキングプア研究会編 20100515
『なくそう!官製ワーキングプア』,日本評論社

211p. ISBN-10: 4535556334 ISBN-13: 9784535556331 1680円
[amazon][kinokuniya]
【内容紹介】
公務・公共サービスにおける「貧困」を現場実態の紹介を通して明らかにし、解決へ向けての提言を行う。
【目次】
第1部 作られたワーキングプア
1 雇い止めと闘う非正規公務員
2 「常勤的非常勤」の怪
  ――アンケート調査から
3 「恒常的臨時職員」の怪
4 解雇と闘い職場復帰を勝ち取る
  ――中野区非常勤保育士解雇事件
5 非正規当事者からの声
第2部 公共サービスの貧困
6 利用者、住民の安全はどこへ?
  ――ふじみ野市営プール事故から
7 入札で際限のないダンピング競争
8 労働者の命を奪う
  ――下請け、孫請けの労災事故
9 サービスを向上させる条件に欠ける公共施設
10 指定管理者でサービスは向上するのか
第3部 官製ワーキングプアからの脱却
11 なぜアウトソーシングと直雇用非正規は拡大したのか?
12 重要情報満載!08年総務省「臨時・非常勤(全国)調査」を東京から検証する
13 国情研裁判から見通す訴訟の力と新しい運動
14 東村山市退職金訴訟判決を活用する
15 労組の闘い
16 何よりも安定した雇用を!
  ――ILO条約を活用する
17 公共サービスの貧困からの脱却
  ――公契約制度の活用と限界

京都新聞COM雇い止め訴訟の記事

■京都新聞子会社雇い止め訴訟
 (2010年05月19日 asahi.com>マイタウン>京都)
http://mytown.asahi.com/kyoto/news.php?k_id=27000001005190002
◆雇用継続命じる判決
 京都新聞社(中京区)の子会社2社で通算4年以上働いた契約社員の女性2人(34歳、44歳)が、契約更新を打ち切られたのは解雇権の乱用に当たるとして、地位保全などを求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。大島真一裁判官は「原告が雇用が続くと期待したのには合理的な理由がある。更新の拒絶には社会通念上相当な理由が必要だ」として、子会社側に雇用の継続と判決確定までの給与支払いを命じた。
 判決によると、原告はそれぞれ2001年と04年、京都新聞社の広告や事業部門を請け負う子会社と雇用契約を結んだ。06年4月から、子会社の業務の一部を引き継いだ「京都新聞COM」(同区)に移籍して1年ごとに契約を更新したが、09年3月末で契約を打ち切られた。
 大島裁判官は、原告らの二つの子会社での業務内容は変わらず、勤務場所も京都新聞の社屋だったことから、移籍前と後で勤務は継続し、勤続年数はそれぞれ7年と4年にわたると判断。原告らが契約が続くと期待する合理的な理由があったと指摘した。
 裁判で、COM社は原告らの移籍時に「3年を超えて契約更新をしない」と説明したと主張したが、判決は「説明は不十分で周知されていたとは認められない」と判断した。▲

■京都新聞子会社の雇い止め訴訟:契約社員の請求認める--地裁判決 /京都
 (2010年5月19日『毎日新聞』京都版)
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20100519ddlk26040575000c.html
 京都新聞社の子会社「京都新聞COM」(京都市中京区)を雇い止めになった契約社員2人が、同社に地位確認や未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。大島真一裁判官は「更新を拒絶する合理的な理由がない」と述べ、2人の請求を認めた。
 訴えていたのは34歳と44歳の女性。判決によると、それぞれ01年と04年、京都新聞社の子会社である京都新聞企画事業に採用された。1年ごとに契約更新し、06年に設立されたCOM社に移籍。09年6月、10年3月末での契約終了を通告された。
 COM社は「契約社員は3年を超えて更新されないというルールがある」と主張。しかし、2人の基本給は企画事業在籍時から通算して支払われており、判決では「企画事業とCOM社での勤務は継続していた」と結論づけた。【古屋敷尚子】▲

■未払い賃金支払い命令 京都新聞子会社に
 (2010年5月19日 『産経関西』[関西の社会ニュース])
http://www.sankei-kansai.com/2010/05/19/20100519-024016.php
 京都新聞社の子会社「京都新聞COM」(京都市)から雇い止めされた女性2人が突然の契約終了は不当として、COM社に対し、社員としての地位確認などを求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。大島眞一裁判官は地位確認を認め、同社に未払い賃金などの支払いを命じた。
 判決理由で、大島裁判官は、2人の契約の更新回数が4-10回に及んでいることや、業務が誰でも行える補助的な仕事ではないことなどをあげ「契約の更新を期待することに合理性がある」と述べた。
 また、「京都新聞社には、契約社員などについて3年を超えて契約更新しない『3年ルール』があり、原告にも周知されていた」とのCOM社側の主張に対して、「原告への説明が不十分だった」と退けた。
 判決によると、2人は平成13年と16年、京都新聞社の別の子会社に1年単位の有期雇用契約で採用。18年のCOM社設立時に移籍し、更新を続けたが、21年3月に雇い止めされた。
 判決を受けて、COM社は「判決の内容を精査して対応を考えたい」としている。
(2010年5月19日 08:13)▲

■契約社員の雇い止め無効――京都地裁 京都新聞COM
(2010年05月18日(火)『京都新聞』)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100518000186&genre=D1&area=K00
 京都新聞社(京都市中京区)の子会社「京都新聞COM」(同)の契約社員2人が契約更新を不当に打ち切られたとして、地位確認などを求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であり、大島眞一裁判官は「継続雇用の期待があり、雇い止めは無効」として、2人の契約社員としての地位を確認し、COM社に雇い止め以降の賃金全額の支払いを命じた。
 ■賃金支払い命令
 判決によると、2人は京都新聞社の別の子会社に採用され、COM社に移籍した2006年以降を含めて契約を更新してきたが、移籍後丸3年の09年3月末で雇い止めになった。
 大島裁判官は、業務実態をふまえて「別会社時代から雇用は継続していた」と判断し、「雇用期間は7年9カ月、4年11カ月に及び、更新への期待は合理性がある」とした。
 「3年を超えて契約更新しないルールがあった」とのCOM社の主張については、「ルールはあったが、徹底されておらず、説明も不十分」と退けた。▲

■京都新聞COMに雇い止め無効判決
 (2010年5月18日 20:34 京都民報Web[労働])
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2010/05/18/post_6857.php
 京都新聞社のグループ会社「京都新聞COM」(京都市中京区)で契約社員として働いていた女性2人が、雇い止めは不当として提訴していた訴訟で 18日、京都地裁(大島眞一裁判長)は雇い止め無効の判決を下しました。
 2人は、同新聞社グループの別会社から06年に設立された同社に異動し、1年契約を更新しながら勤務してきましたが、昨年3月末に雇い止めされました。
 判決では、2人が同社と別子会社に連続して勤務し、契約が長期になる下で一方的な解雇は許されないとする主張が認められました。
 判決後、京都弁護士会館で報告集会が開かれ支援者ら80人が参加。8年間連続勤務してきた原告は、「うれしい結果となって本当によかった。会社には職場復帰を求めていく」と語り、5年勤務の原告は「組合に私らの声をひろっていただいて感謝している。このたたかいで自分も成長できた」と笑みを浮かべました。
 京都新聞労働組合の稲庭篤委員長は、「法廷で勝利できたことは2人があきらめなかったから。これから2人を職場にもどすたたかいをがんばろう」と呼びかけました。
 京都第一法律事務所の村山晃弁護士は、原告の判決確定までの仮処分が大阪高裁まで勝利し続けてきた経緯を説明。「会社の主張が認められなかったのは4度目。今度こそ過ちを認め2人を再雇用し、社会的責任を果たせ」と訴えました。▲

■「契約社員雇い止めは無効」 京都新聞子会社に未払い賃金支払い命令 京都地裁
 (2010.5.18 19:37 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100518/trl1005181937013-n1.htm
 京都新聞の子会社「京都新聞COM」から雇い止めされた女性契約社員2人が社員としての地位確認などを求めた訴訟の判決で、京都地裁は18日、2人の訴えを認め、COM社に未払い賃金などの支払いを命じた。
 大島真一裁判官は、2人が継続する業務を担当しており「契約更新を期待する合理的理由があった」と指摘。3年を超えて契約更新しないとしたCOM社などの「3年ルール」についても「原告らへの説明が不十分だった」と判断した。
 判決によると、2人は平成18年に京都新聞の別の子会社からCOM社に移籍したが、21年3月に雇い止めされた。
 COM社は「判決の内容を精査して対応を考えたい」としている。▲

京都新聞COM社雇い止め訴訟、完璧な勝訴!

速報 京都地裁 勝利!
判決「雇い止め無効」雇用契約認める
京都新聞COM社契約社員の雇い止め訴訟で、京都地裁(大島眞一裁判官)は18日、「雇い止めは無効で、現在も契約社員の地位にある」として原告2人の雇用契約を認める判決を下した。」
http://kyoto-np.org/article/38242788.html

予想通りのすばらしい結果です! おめでとうございます!
この勝訴は今後とても大きな意味をもつものになるでしょう(そう、私たちの運動にとっても)。
あとは京都新聞COM社が控訴せずに、きちんと判決を受け入れることを強く願うばかりです。

「レイバーネットTV:労働問題、ネット番組に」

■レイバーネットTV:労働問題、ネット番組に 市民グループが月1回1時間
 (2010年5月17日『毎日新聞』東京夕刊)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100517dde041040021000c.html
 ◇「埋もれた情報に光を」
 昔ガリ版、今ネット--。労働に関する情報をインターネットで発信している市民グループ「レイバーネット日本」が17日夜、動画をオンライン放映する「レイバーネットTV」をスタートする。参院選を前に政党のオンラインTVなども始まっているが、労働問題の専門番組はネット上では初の企画ではという。質問に答えるコーナーの生中継も実施。ネットメディアをビラ代わりに「埋もれている情報に光を当てたい」と意気込んでいる。【東海林智】
 レイバーネット日本は、労働者の現状や労組の情報を共有しようと01年に設立された。メンバーには労組員の他にビデオジャーナリストなど映像に携わる人も多く、集会の様子などを録画した情報も発信してきた。
 初回となる17日の放映は、午後8時から1時間。大手メディアでは取り上げられることの少ない現場の情報を市民の視点で紹介するのがコンセプトだ。動画配信サイト「USTREAM(ユーストリーム)」を使って配信する。
 若手労働者から寄せられた質問に、古参の労組員が答える「教えて、おじさん」を生中継。残業代が支払われない、セクハラがひどいなど「不満自慢」のコーナーでは、寄せられた情報を即興で川柳や替え歌にして激励するなどユニークな試みも行う。
 今後も月1回放映予定で、番組内で視聴者との双方向のやり取りを図る。レイバーネット日本の共同代表の松原明さんは「市民メディアならではの視点で情報発信したい。雇用情勢が厳しい中で、働き方を考える刺激になれば」と話している。問い合わせはレイバーネット日本(03・3530・8588)へ。番組の視聴はhttp://www.labornetjp.org/tv

「女性のメーデー」記事

■写真速報 : にぎやかに女性メーデー
 (『レイバーネット日本』Last modified on 2010-05-17 12:18:24)
http://www.labornetjp.org/news/2010/0516josei
5月16日(日)午後3時、東京渋谷の街に女性たちのにぎやかな声が響き渡った。女性が安心して生きられる社会、安心して働ける社会をめざし、「女性メーデー」が「女が歩く・女が動くメーデー」としておこなわれた。形式ばった「あいさつ」などはなく、替え歌で「♪派遣法をぶっ潰せ!」「♪TRAIN  TRAIN 走ってゆけ 」「♪武器より歌を!」などと歌ったり、「女の声を聞け!」「女の労働を安く使うな!」など41項目のシュプレヒコールで楽しく行進した。沿道の関心も高く「『男は男社会と向き合え』って言ってるよ」などの話し声が聞こえた。「パートに有給を取らせろ!」「セクハラをやめろー!」「おばさんと呼ぶな!名前でよべー!」 「やさしさを強要するなー!」などなど実に痛快なデモだった。(尾澤邦子)▲

■非正規雇用:「派遣法改正を」若者と女性が集会
 (2010年5月16日19時48分(最終更新5月16日20時54分)『毎日新聞』>話題)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100517k0000m040042000c.html
(【写真】非正規雇用の問題や新氷河期の就職問題を訴えるためデモ行進する若年労働者や学生ら=東京都新宿区で2010年5月16日午後3時59分、塩入正夫撮影)
 失業率の改善が進まない中、2人に1人が非正規雇用で働くとされる若者と女性の集会が16日、東京都内でそれぞれ開かれた。労働者派遣法改正の審議が進まず、今国会での改正が厳しい情勢だが、両集会では「きちんと審議を」「抜本改正を」と善処を求める声が相次いだ。【東海林智、市川明代】
 新宿区の明治公園であった「全国青年大集会2010」(全労連青年部などで作る実行委員会主催)には、5200人(主催者発表)の若者が参加。自動車メーカーや電機会社で派遣労働者として働き雇い止めに遭った人や就職活動に苦労する大学生、高校生が体験を語った。定時制高校2年の小松耀さん(16)は「50回も面接に落ち、学費も払えず退学寸前になった。安定した仕事がほしい」と訴えた。
 来賓としてあいさつした反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は「貧困は社会問題と同時に人権問題。労組、市民団体など多様な団体が手を結び解決しよう」と呼び掛けた。参加した求職中の元派遣労働者(35)は「派遣法改正の成立が難しいと聞き、腹が立つ。問題のある派遣制度を放置するのか」と怒りをあらわにした。
 ◇「パートのおばさんと呼ぶな」
 一方、渋谷区では「女性と貧困ネットワーク」が「女性のメーデー」を初めて開催。渋谷駅近くから恵比寿駅前まで約3キロをデモ行進した。
(【写真】シュプレヒコールを上げる女性たち=東京都渋谷区で2010年5月16日、市川明代撮影)
 約50人が参加。「パートのおばさんと呼ぶな」「ケアワーカーはボランティアじゃない」「女を安く使うな」と、男性社会に「分断」されてきた女性の思いをシュプレヒコールに託した。長時間労働で体を壊し、その後別の会社で派遣切りされたという女性(36)は「女は派遣で当然という扱いだった。人間らしい働き方を求めたい」と話した。▲

「低所得世帯 再配分機能が弱いゆえに」

■低所得世帯 再配分機能が弱いゆえに
 (2010/04/18付『西日本新聞』朝刊社説)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/166148
 貧困問題が深刻さを増しているという。背景には日本経済の長い停滞と過去に例のない急速な高齢化の進行がある。
 そして、社会構造の変化に追いつけない既存の制度がある。変える努力がなされてはいるが一筋縄ではいかない。
 生活保護基準を下回る低所得世帯数が全国で229万世帯に上り、全世帯の4・8%を占めた。その数に少し驚いた。
 厚生労働省が初めて推計した。2007年国民生活基礎調査を基に(1)月額の所得が生活保護の最低生活費を下回る(2)現在貯蓄高が最低生活費の1カ月未満-の条件に当てはまる世帯数を算出した。
 全国消費実態調査を基にした推計も行い、こちらは45万世帯となった。これは少なすぎるというのが実感だ。
 ただ、数だけが問題なのではない。親から子どもへと引き継がれ、容易に抜け出せない貧困の連鎖が起きているのではないか、との声が強まっているのだ。
 日本にもかつて高度経済成長期があった。若い世代は信じ難いかもしれない。国民すべてが同じではなかったが、誰もが、それなりに暮らしは便利に豊かになって「一億総中流」意識が生まれた。
 それが、1990年代から経済の停滞によって崩れた。格差が強く意識され「勝ち組」「負け組」の言葉を生んだ。
 高齢社会の到来も大きい。公的年金の受給額、不動産など資産の有無、貯蓄の多寡など高齢者ほど個人差が大きい。
 男女の賃金格差もなかなか縮まらず、多くの母子家庭は低収入に苦しむ。
 いったん困難な状況に陥ると、個人の努力だけではいかんとも解決し難い。
 そのとき、経済格差を緩和する役割を果たすのが、国の政策、制度である。
 一つは税金だ。高所得者からは税金を多く、少ない人は少額を納めてもらう。格差を緩和する税の所得再配分機能といわれる。欧米では、低所得者向けに減税と給付金支給を合わせた制度もある。
 しかし、昨夏発表された内閣府の経済財政白書も指摘したように、日本の税制は再配分機能が極めて弱い。低所得者層では欧米諸国に比べて公的負担は重く、公的給付は少ない状態に置かれている。
 所得が低い割には税金や社会保険料の負担が重い。これは若い世代が中心だ。だから、子ども手当という手厚い給付金で直接支援するとの考え方もとれる。
 ただ、私たちは昨年末、財源を考えて制度設計の見直しを求めた。いま、導入を急ぎすぎたとの批判も出ている。
 最低賃金の引き上げ、正規・非正規労働や男女にかかわらず「同一労働同一賃金」の徹底なども底上げには有効だ。
 これらの課題は以前から指摘されてきたことだ。しかし、なかなか進まない。旧来の制度をすべて壊し、一から積み直すぐらいのパワーが必要だと思うが、いまの政治にはその力が感じられない。
 個人では破れない社会の壁を一刻も早く取り去り、新しい風を入れないと、日本社会の活力は低下するばかりだ。▲

「賃金格差を解消した広島電鉄の試みが注目されています」

■働くナビ:賃金格差を解消した広島電鉄の試みが注目されています。
 (2010年5月10日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/life/job/news/20100510ddm013100028000c.html
 ◆賃金格差を解消した広島電鉄の試みが注目されています。
 ◇契約社員を正規雇用 一部賃下げ/定年延長で生涯賃金増
 広島県内で路面電車や路線バスを運行する広島電鉄(本社・広島市、約1300人)は昨年10月、契約社員150人の正社員化を実施し賃金体系を一本化した。一部ベテラン社員は賃下げとなったが、同じ職場で働く人たちの賃金格差を解消した試みとして注目されている。
 バス運転手、中川良二さん(29)は08年4月に契約社員として入社。基本給は22万6000円。雇用契約は1年更新で、ボーナスは正社員の約半分。正社員に支払われる経験・年齢給や退職金はなかった。
 正社員となった新しい賃金表では、基本給は21万円に下がったものの、無事故手当など各種手当がつくため、月々の手取りはほとんど変わらない。ボーナスが倍以上に増えたため、年収は40万~50万円のアップとなる見込みだ。中川さんは昨年初めに結婚したばかり。「(賃下げになった)ベテランの正社員には申し訳ない気持ちですが、自宅購入も夢ではないなという気持ちがわいてきました」と話す。
     ◇
 広島電鉄は01年度から運転職に契約社員制度を導入した。04年からは勤めてから3年後に正社員に登用する制度を導入したものの「正社員2」と呼ばれ、正社員とは区別されていた。退職金や各種手当など条件面は契約社員から変更がなく、違うのは定年まで働けるというぐらいだった。
 転機が訪れたのは06年末。会社と労働組合が賃金体系の見直しで基本合意した。「契約社員と正社員2の割合はあと10年もたてば正社員と逆転し、社員全員が契約社員になるかもしれないという危機感があった」と佐古正明・同社労働組合委員長(49)は振り返る。
 ただ具体的な賃金体系の見直しは難航した。正社員化と賃金体系見直しで労使が合意できたのは基本合意から2年以上が過ぎた昨年3月だった。
 見直しによって、契約社員と正社員2の約300人は年収がアップし退職金も出るようになった。ベテラン正社員の約100人は最大で月5万円の賃下げとなるが、賃下げは10年かけて行う激変緩和措置を導入。さらに60歳定年を65歳に延長し、賃下げとなるベテラン正社員も生涯賃金は上がるようにした。これまでの再雇用制度に比べ、年収で150万~200万円は上がるという。
 正社員化によって会社側の人件費は年3億円以上の負担増となった。交渉を担当した椋田昌夫・同社常務は「会社と労組は車の両輪。(正社員化は)安定した職場の維持と安全運行のための投資」と話している。【有田浩子】
 ◇ユニクロでも3000人
 ここ数年、優秀な人材確保などを目的に非正規から正社員に転換・登用する企業も目立ち始めた。08年4月から施行されたパート労働法が正社員への転換を企業に義務づけたことなど規制強化が進んでいることも背景にある。
 07年3月、ユニクロは約2万2000人の非正規社員のうち、一定の業務水準に達した社員を転勤を伴わない正社員に登用すると発表。これまでに約3000人が正社員に登用されている。また段ボール最大手のレンゴーは09年4月、国内工場で働く約1000人の派遣社員を一斉に正社員化した。派遣期間の上限(3年)を順次迎えるなかで、優秀な社員を継続雇用するためだった。
 労働政策研究・研修機構の荻野登・調査・解析部次長は「企業にとってコスト増の懸念はあるものの、意欲や能力の高い人材を見極めることができる」と分析する。▲

民主党「格差是正へ雇用基本法」

■格差是正へ雇用基本法=参院選公約に盛り込み検討-民主党
 (2010/05/07-22:56 時事ドットコム)
 民主党は7日、正社員と非正規社員の格差是正などを目的とする雇用基本法(仮称)の制定を、参院選マニフェスト(政権公約)に盛り込む方向で本格的な検討に入った。国が同法に基づいて雇用基本計画を策定し、雇用に対する国、自治体、企業の責務を明確化するのが狙い。
 党の参院選マニフェストに関する研究会が同日まとめた報告書で明らかにした。報告書は派遣など有期雇用を含めた公正な働き方や、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の確保などを基本施策として打ち出すよう求めている。 
 報告書はまた、厳しい雇用情勢に対応するため、長期失業者らを対象に就労と生活再建へ向けマンツーマンで支援する「パーソナルサポーター」制度を導入すると明記。仕事と住まいを同時に失った失業者への住宅手当を、恒久的制度として法制化することもうたった。
 さらに、失業者流入で生活保護費が急増する大都市の財政負担を軽減するため、自治体と国の拠出による「社会的包摂基金」(仮称)を創設するとした。生活保護の対象者が住居不定の場合、基金が一定期間負担し、自治体同士が押し付け合う状況を改善する。▲(下線は引用者)

日本労働弁護団による「有期労働契約研究会の中間取りまとめ」に対する意見

■「有期労働契約研究会の中間取りまとめ」に対する意見
2010年4月30日 日本労働弁護団(幹事長 水口洋介)
http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/20100430.php

★これはぜひ読んでください!
「そこ、よく言ってくれました!」という箇所がたくさん。
すばらしいお仕事です。
これを受けて、私たちもがんばらねば、ですね。

「正社員との均衡待遇促進につとめたい」(群馬県)

■非正規労働者、過半数が待遇不満 事業者側は長期活用望む 群馬
 (2010年5月4日02:21 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/100504/gnm1005040222000-n1.htm
 群馬県は、不安定な労働環境下にある非正規労働者の実態を調べた「雇用状況調査」結果を発表した。それによると、事業者側の半数が非正規労働者の長期的な活用を望む一方、正社員との待遇差に不満を感じる非正規労働者は半数以上にのぼった。県労働政策課は「非正規労働者の数は増えている状況。正社員との均衡待遇促進につとめたい」としている。
 調査は、昨年11~12月にかけて、無作為に抽出した県内の1000事業所と、そこで働く非正規労働者4000人を対象に実施。回収率は44・6%(446事業所)、16・3%(653人)だった。
 同課によると、非正規労働者を長期的に活用したい事業所は、「ぜひ活用したい」(22・9%)と「機会があれば活用したい」(27・1%)を合わせて5割で、「どちらとも言えない」が27・4%。雇用上の問題点としては、「仕事に対する責任感が弱い」(46・9%)が最も多かった。
 一方、正社員との格差感の有無について、「よくある」(23・4%)、「ときどきある」(31・5%)で合計54・9%。だが、正社員への就業や技術向上に取り組んでいる非正規労働者は少なく、「特に取り組んでいない」(69・2%)が7割近くに上った。
 また、処遇格差改善で必要と考えることについて、事業所側では「正社員への転換制度」(20・9%)が、労働者側では「昇進、昇給」(32・0%)が最も多かった。▲

「子育て女性再就職“超氷河”」

■子育て女性再就職“超氷河” 正社員採用の5% 06年から3年間県内調査
 (2010年4月30日『東京新聞』[神奈川])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20100430/CK2010043002000071.html
 二〇〇六年からの三年間に県内事業所が採用した女性正社員のうち、子育て女性がわずか5%だったことが、県立かながわ女性センター(藤沢市)の調査で分かった。子育て女性を採用した事業所数も全体の26%にとどまり、出産などでいったん仕事を辞めた女性の再就職の難しさが浮き彫りとなった。
 調査は県内の事業所と、事業所に正社員として再就職した子育て女性の双方を対象に実施し、八百四十二事業所と三百九十一人が回答した。
 全事業所が、三年間で採用した女性職員は計九千八百八十一人だが、子育て女性を採用した事業所は二百二十二カ所にとどまり、採用数もわずか四百五十四人だった。
 事業所規模別では、従業員数五~四十九人の事業所の子育て女性の採用割合が14%であるのに対し、五十~二百九十九人は8%、三百人以上はわずか2%で、子育て女性の再就職は小規模企業に偏りがち。ただ、事業所の53%は「子育て中であることと採用とは関係ない」としている。
 一方、子育て女性に再就職の動機を尋ねたところ、84%が「生活のため」と回答。このうち「離婚」32%、「夫の失業、収入減」12%など、夫に頼れないため働きに出る女性も少なくなかった。
 このほか、女性の多くが保育園の増設、学童保育の拡充など、子どもの預け先確保に関する要望を挙げた。
 (中山高志)▲

調査資料「平成22年版 パートタイマー白書」

■アイデム、調査資料「平成22年版 パートタイマー白書」を発表
 (2010年4月27日『日経プレスリリース』)
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=250266&lindID=5
*パートタイマー白書の全文は、アイデム人と仕事研究所のホームページ(http://apj.aidem.co.jp)でも、期間限定(2010年7月31日まで)で見られます。
「【パートタイマー白書 概要】
1 主婦パートの半数は就労調整していない
 主婦パートのうち、自身の収入に「上限を設けている」としたのは約半数の50.5%、このうち、いわゆる「103万円の壁」、つまり所得税の非課税限度額や配偶者控除を意識しているのは41.0%、主婦パート全体の2割に過ぎない結果となった。一方、企業に「103万円以内で働いている主婦パートの割合」を聞いたところ、「10割」という回答が28.8%で最も多くなった。「主婦パート=103万円以内で働く人たち」という固定観念が働いているのか、主婦パートの残り半数(49.5%)は収入に上限を設けていないという実態とのギャップが浮き彫りになっている。
2 「子供」が主婦パートの働き方に大きく影響
 主婦パートの「正社員」への就労意向は33.0%にとどまっている。ところが、同じ正社員でも勤務時間の短い「短時間正社員」への就労意向は59.7%と高くなっており、主婦パートが、正社員として働くことに魅力を感じつつも、労働時間の長さがネックとなっている状況が見てとれる。
 「今後の働き方」について「(税制や社会保険制度が変更されたと仮定し)収入を制限する必要がなくなった場合」、「子供が成長した場合」、「親の介護・看護の必要がなくなった場合」で比較すると、「子供が成長した場合」において、働く意欲が強く表れる傾向にあった。
 主婦の社会進出を阻む要因として税制や社会保険制度があるとされるが、これと同様に「子育て」も、主婦の働き方を決定づける大きな要因となっている。
3 進む高学歴化。主婦パートの9割に「正社員経験あり」
 主婦パート個人の経歴・学歴を見ると、最終学歴は高校卒が34.2%と最も多いが、大学卒も19.4%であった。
 大学進学率は1987年以降急上昇しており、今後は大学卒の主婦パートがさらに増えることが予想される。
 正社員で働いた経験は、主婦パートの91.6%にあった。企業が正社員経験に期待するものとして挙げた「基礎的な実務能力」や「一般常識・教養」について、主婦パートは、自身が正社員として働いていたときにこれらを得たとしている。にもかかわらず、企業は、主婦パートを採用する際に、中途採用の正社員を採用するときほど、その正社員経験を重視していない。
 能力の発揮については、「現在の仕事において能力が発揮できている」と回答したのは全体で60.4%となったが、これを「正社員時と同じ職種に現在も従事している」主婦パートに限ってみると、67.8%に増える。このことからも、正社員時の実務経験が現在の仕事に活きている様子がうかがえる。
4 変化をとらえ、企業力を高める戦力に
 主婦パートの高学歴化、正社員としての経験や能力を蓄積してきているにもかかわらず、企業が主婦パートに任せている仕事は、単純作業などを多く含む定型的業務の比重が高くなっている。一方、今後主婦パートが正社員の仕事を担っていくことは可能かについて、「可能だと思う」「どちらかといえば可能だと思う」と回答した企業が合わせて47.4%であったことから、主婦パートの力を活かしきれていない実態がうかがえる。
 正社員の仕事を整理し、それを主婦パートにうまく振り分けていくことで、主婦パートの能力をさらに活かしていけるかもしれない。」

「有期雇用は、労働者をまるで賞味期限がある食べ物のように扱う」

■「子の寝顔に奮起誓う日々」
 (2010年5月2日『読売新聞』大阪版)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20100502-OYT8T00053.htm
◇メーデー 労働者ら訴え切実
(【写真】連合大阪のメーデー集会に集まった参加者(大阪城公園で))
 メーデーの1日、大阪市内で開かれた各団体の集会には働く人だけでなく、職を失った人たちも参加。苦境に立たされた暮らしぶりや行く末への不安の声も聞かれた。
 大阪城公園(中央区)での連合大阪の大会に参加した労働金庫勤務の男性(24)は「派遣切りの影響で生活資金の融資を求める相談が増えた。正社員を望む人に、もっと門戸が開かれるべきだ」と擁護した。
 「生命保険は解約したが住宅ローンの支払いで頭が痛い」。大阪労連が扇町公園(北区)で開いた大会では、2月に1年契約のバス運転手を一方的に解雇されたという茨木市内の男性(45)が「貯金も減り、妻から車を売るよう迫られた。夜中には必ず1度は目が覚め、子供の寝顔を見ては『頑張らないと』と気を奮い立たせている」。
 中之島公園(同)では、大阪全労協や地域ユニオンの外国人労働者ら約1000人(主催者発表)で「競争より共生の社会を!」とアピール。1年契約の大学職員を3月末で雇い止めにされ、体調を崩したという神戸市内の女性(36)は「有期雇用は、労働者をまるで賞味期限がある食べ物のように扱う」と憤った。▲

「非正規労働 人への投資こそ大切だ」

■非正規労働 人への投資こそ大切だ(5月4日)
 (2010年5月4日『北海道新聞』社説)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/229481.html
 処遇改善の手がなかなか届かない。それが非正規労働者の置かれた状況だろう。今年のメーデーでもパートや派遣などで働く人たちが厳しい実態を訴えた。
 今春闘で連合は取り組みの対象をすべての労働者に広げた。昨年より5割多い3千余りの傘下労組が非正規のための要求などを掲げている。
 しかし壁は厚い。パートの時間給に関しては、引き上げの回答を得たのは1割強にとどまる。北海道でも「ゼロ回答」の苦戦が続いている。
 正社員の賃上げもままならないのに非正規までの余裕はない。それが企業側の言い分のようだ。
 とはいえ人材こそ企業の力だ。人への投資を抑えてばかりでは成長の基盤を損なうことになりかねない。
 非正規はいまや働く人の3人に1人を占める。なかでも北海道は36・6%と地域別で最も割合が高い。
 これほど増えたのは企業にとって安い賃金で、雇用調整にも使える労働力だからにほかならない。労働規制の緩和という後押しもあった。
 そうしたなか、あぶり出された問題がある。正社員が非正規に置き換えられるにつれ、職能訓練が十分に施されない労働者が増えたことだ。
 15~24歳の世代を見ると、働く人のうち非正規の占める割合は45・0%に達している。限られた職責や雇用期間では能力を高めたり、職歴を積んだりすることは難しい。
 10年後、20年後にこうした若年層が働く人の中心的な世代となる。とすれば企業、ひいては産業全体の力が保てるのかどうか。
 人件費を削減して国際競争力を高める。それが非正規を増やす狙いだった。働く人をそのための手だてとしか扱わないというのでは、かえって肝心の競争力を失いかねない。
 雇用情勢が悪化するなかで、安全網の整備や再就職支援の充実が急がれる。国会で審議中の労働者派遣法の改正も実現すれば、雇用の安定には一歩前進とはなるだろう。
 いま併せて考えねばならないのは人材をどう育てるかである。
 政府は昨年末の経済成長戦略の基本方針に「社会全体で人材育成を行う」と明記した。問われるのは、その具体的な道筋だ。
 機械化さえすれば利益が増えるという時代ではない。企画力や開発力、独自の技術で市場を切り開くことが求められている。
 企業が培ってきた力を、いかに世代を超えて引き継ぐかが大事になる。そのためには、長期で安定した雇用を基本に据えるべきだろう。
 非正規の処遇を改善し、正社員への切り替えを図る。将来の雇用のあり方を見据えながら、その方策を政労使で真剣に考えるときである。▲

厚生労働省「非正規労働者の雇止め等の状況について~4月報告:速報~」

■非正規労働者の雇止め等の状況について
     ~4月報告:速報~

 (平成22年4月30日 厚生労働省報道発表資料)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000005y35.html
「 今回の集計結果は、全国の労働局及び公共職業安定所が、非正規労働者の雇止め等の状況について、事業所に対する任意の聞き取り等により把握した状況をまとめたものである。
 なお、この報告は、労働局やハローワークの通常業務において入手し得た情報に基づき、可能な範囲で事業所に対して任意の聞き取りを行っているため、全ての離職事例やその詳細を把握できたものではない。特に、今後の雇止め等の予定として把握されたものについては、対象労働者が未定であること等により、現時点で把握が難しい項目があることにも留意が必要である。
 また、1月報告より、前回報告以降に新たに把握できた雇止め等の状況についてまとめたものに変更している。」

非正規メーデー(京都/札幌)

■追いつめる社会に“ノー” 非正規労働者ら京でメーデーパレード
 (2010年4月30日『京都新聞』)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100429000145&genre=C4&area=K00
(【写真】河原町通をパレードする非正規雇用で働く人たち(京都市下京区))
 非正規労働者や仕事がない人たちが29日、京都市下京区河原町通仏光寺から中京区の京都市役所までパレード「逃散や不服従メーデー」を行った。参加した約150人は、「働けと人を追いつめる社会から逃げ出そう」などと呼び掛けた。
 パレードは、関西非正規等労働組合ユニオンぼちぼち、京都大学時間雇用職員組合ユニオン・エクスタシーなどが主催し、メーデーとして開くのは3回目。
 パレードは、車いすの障害者や生活保護を受けている人たちも参加し、大きな人形や音楽とともに河原町通を行進した。ユニオンぼちぼちの橋口昌治さんは「祝日だが働く機会を奪われている人もいる。労働問題で苦しんでいるさまざな人たちに思いを訴えたい」と話した。▲

■札幌で「連帯メーデー」 障害者や非正規労働者らが参加
 (2010年4月30日09:09『北海道新聞』道内)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/228885.html
(【写真】障害者や非正規労働者が生きる権利を訴えたデモ=29日、札幌市中央区)
 障害者やパートなどの非正規労働者らが参加して「自由と生存の連帯メーデーin札幌」が29日、札幌市中央区で行われた。「私たちはここにいる!」をスローガンに、約100人が生きる権利を訴えた。
 低賃金による生活苦など、生きづらさを抱える人たちが存在をアピールし、連帯しようと、市民団体「札幌働く人の家」などでつくる実行委(鳥居明子代表)が企画した。
 今年で3回目。大通公園で開かれた集会では参加団体がブースを設け、チラシを配り厳しい雇用情勢などを訴えた。この後、音楽をかけてにぎやかに行進する「サウンドデモ」が大通公園周辺で行われ、参加者は「給料上げろ」「地方は仕事がないぞ」と書かれたメッセージボードを掲げながら、「雇い止め反対」などと訴えた。▲

「非正規労働者 27万人余失職」

■非正規労働者 27万人余失職
 (2010年4月30日9時13分 NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100430/t10014174621000.html
契約の打ち切りなどによって、おととし10月以降に仕事を失った非正規雇用の労働者は、全国で27万5000人余りに上ることが厚生労働省の調査でわかりました。
厚生労働省は、景気の悪化に伴う人員削減の計画を把握するため、全国の企業を対象に聞き取り調査を行っています。それによりますと、おととし10月からことし6月末までに、契約を打ち切られて解雇されたり期間満了で仕事を失ったりする非正規雇用の労働者は、今月20日の時点で27万5014人に上り、先月よりも5224人増えました。内訳を見ますと、派遣労働者が14万8957人、期間従業員が6万4646人、請負労働者が2万1262人などとなっています。都道府県別では、最も多い愛知が4万5013人、次いで東京が1万6380人、長野が1万1249人、静岡が1万1246人、神奈川が9536人となっています。また、仕事を失った非正規雇用の労働者で調査が可能だった12万9432人のうち、再就職できたのは全体の58.7%にあたる7万5956人にとどまっています。一方、正社員で、おととし10月からことし6月末までに仕事を失う人は一度に100人以上、仕事を失うケースをまとめただけでも全国で6万6060人と先月よりも1884人増加し、依然として厳しい雇用情勢が続いています。▲