「パートの失業給付、「退職勧奨」で不利益も」

■パートの失業給付、「退職勧奨」で不利益も
 (2010年3月17日『読売新聞』)
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20100317-OYT8T00193.htm
◇即答せずに情報収集を
 会社の倒産や解雇などで失業に直面した時、雇用保険の失業給付(基本手当)は再就職までの安全網だ。
 パート労働者の場合、短期の契約を繰り返したり、保険に加入していたかわからなかったりして、給付に不安を感じることもあるだろう。制度をしっかり理解しておきたい。
 パートの事務員として働くA子さん(58)は2月下旬、契約期間の満了を前に会社から「人員削減のため2月末で退職し、必要人数を募集するので再度応募するように」と伝えられた。指示に従い退職し、再応募したが「採用されなければ失業。失業給付を受ける時に不利になるのでは」と不安を募らせる。
 失業給付は、雇用保険に加入していた労働者が失業時、生活を心配せずに仕事を探し、再就職できるよう現金を給付する仕組み。支給額は離職した日の直前6か月の賃金(賞与などを除く)の約45~80%、日数は勤続年数、離職時の年齢、離職理由によって決まる。
 自分の意思(自己都合)で離職する人は、解雇や倒産など会社都合で離職する人よりも受給要件が厳しいほか、給付開始が会社都合の場合よりも、原則3か月遅くなる。
 パート労働者の加入要件は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、雇用見込み期間が6か月以上あること。国は解雇・失業が増えていることを受けて、雇用見込み期間を「31日以上」に緩和するなどの改正案を、今国会に提出している。
 特定社会保険労務士の池田直子さんは「働き続けたいのに労働契約が更新されずに離職した非正規労働者は、『特定理由離職者』として、給付日数を手厚くする暫定措置が昨年から始まっています。A子さんも特定理由離職者と認められるのでは」と話す。「期間満了による離職でも、会社都合の離職と同様に受け取ることができる可能性がある。ハローワークで失業給付の手続きを取る際に、退職の経緯を説明してみて」と助言する。
 東京都労働相談情報センターには昨年4月から今年2月まで、雇用保険に関する相談が約4000件寄せられた。非正規労働者は約3割を占め、年々増加傾向だという。
 労働相談係長の関口広行さんによると、最近目立つのが「退職勧奨」に絡む相談という。勤め先から「辞めてもらいたい」と言われただけで「解雇を言い渡された」と思い込み、「分かりました辞めます」と返答して退職届まで書いて離職してしまう。自己都合退職扱いになり、失業給付で不利益を被ったことに後で気付いたという例が相次いでいるという。
 「辞めてほしいと言われてもあわてて即答せず、『家族と相談したい』などと言って、相談窓口などで情報を集める余裕を持って」
 そして失業給付のトラブル回避のために〈1〉雇用契約時に労働条件通知書をもらい、労働条件を確認する〈2〉毎月の給与明細票で保険料が支払われているかを確認し、明細票も保存する〈3〉解雇の場合は退職届を書かないこと――などを勧める。
 「合理的な理由がない解雇は無効です。制度をよく知っておくことで、辞めずに済んだり失業給付の条件が変わったりすることがある。一人で悩まず、十分な情報収集を行ってほしい」と助言している。▲

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