参考:荒川区の取り組み

■荒川区非常勤職員の待遇改善 行政サービス向上へ
 (2010年1月18日『東京新聞』[東京])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20100118/CK2010011802000107.html
 正規職員と非常勤職員の格差を是正するため二〇〇七年、全国でいち早く非常勤職員のための“昇進・昇給制度”を導入した荒川区。今回新たに、育児休業後の復帰制度や、昇進を実感できるように、三段階の職層を六段階に細分化することで、待遇改善をさらに前進させようと試みる。
 荒川区は行財政改革の一環として職員定数の削減を続け、かつては二千三百人以上いた正規職員を本年度は千五百六十四人まで減らした。一方で非常勤職員は増え続け、約六百人までになった。
 非常勤職員の意欲を高めることは、行政サービス向上につながる。単年度の雇用契約で身分保障がなく、ボーナスも昇給もない非常勤職員と正規職員の格差是正が課題だった。
 格差是正は区職員の中から始めると、西川太一郎区長の決断で〇七年に新設した非常勤職員の職層は、「一般」「主任」「総括」の三段階に分けられた。
 総務省は非常勤職員の継続雇用を前提にした制度を認めていないため、区は制度に「昇進・昇給」という言葉を使わず、一般から主任への“昇任”は、選考試験を経て新たに雇用することでクリア。総務省が難色を示す非常勤職員の研修も「区で働く以上、人権問題などの研修は必要」として実施してきた。
 今回の見直しは、最上級の総括非常勤が二人しかおらず、事実上は一般と主任が大半を占めていた状況を改めるのが目的。三つの職層にそれぞれ上級を設けて六段階に細分化し、選考試験の受験期間も短縮した。職員課は「職層を増やすことでステップアップを実感できる機会を増やしたい」としている。
 今回の見直しに対し、継続雇用を前提とした昇給や能力給の創設を求めてきた区職労などは待遇改善という点は評価し認めながらも、全面的には認められないとの立場だ。
 区職労の白石孝書記長は「非常勤職員の仕事の中身は常勤職員と変わらないので、そもそも国が制度を変えるべきだ。今後も正規雇用と昇給制度の両面で要求していく」と話している。 (中里宏)▲

■荒川区 非常勤に育休
 (2010年1月18日『東京新聞』朝刊[社会])
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010011802000099.html
 東京都荒川区は、単年度雇用の非常勤職員が出産で休業中に年度を過ぎても産後三年以内なら復職できる、事実上の育児休業制度の創設を決めた。本年度内にも実施する。非常勤の報酬も現在の三階層から六階層に細分化し、経験や能力に応じた“昇給”の機会を増やす。総務省は単年度雇用の自治体非常勤職員の継続雇用を前提とする制度は認めておらず、区は現行制度内で工夫して正規職員との格差是正を目指す。
 創設するのは「育児休業後復帰制度」。荒川区は「ほかの自治体での導入例は聞いたことがない」と話している。
 行財政改革で自治体職員の定数削減が進む一方、報酬が低く身分も不安定な非常勤職員の数は増え、「官製ワーキングプア」として問題化。特に単年度雇用が前提の非常勤職員には公務員や民間に認められる育児休業制度がなく、制度のはざまに置かれていた。
 荒川区は産前産後(各八週)休暇の後に育児休業(無給)を認めているが、年度内に復帰しない場合は雇用の更新ができず、出産後にやめる非常勤女性が多かった。このため区は「経験と能力を身につけた人材にやめてもらうことはない」として、復帰制度を発案。勤務成績優秀で事前に希望した場合、出産後三年以内で空きポストがあれば、新規雇用の形で復職できることにした。
 区は非常勤職員が約五百人に達した二〇〇七年、「意欲を支える処遇面に正規職員と格差がある」として、十六万八千六百円(事務)で固定されていた非常勤職員の報酬月額を、約十七万~二十五万円の「一般」「主任」「総括(係長級相当)」の三階層に分け、新しい職層で雇用し直す形で報酬をアップする仕組みを導入。有給休暇拡充などの待遇改善も行ってきた。新年度からはこれを六階層、報酬も最高約二十八万円とする。▲

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