日経のどうしようもない記事

企業や公務の(経営・運営・雇用)「体質」――と、それへの必要な行政的・司法的介入――自体をなにも問題とせずに、「労働力の使い勝手」だけを問題としたらこういう結論になるのは当然。まったくばかばかしい記事です。これが「社説」というんだから、日経の思考レベルの低さをアピールしているようなものです。まともな記者さん、がんばってください。

■「有期労働」規制は雇用不安を広げる
 (2010/10/4付『日本経済新聞』[社説・春秋]) 【URL】
 パートや派遣、契約社員など期間を定めて契約を結ぶ「有期労働者」をめぐり、雇用の新しいルール作りが今秋から労働政策審議会で始まる。低賃金の人を減らし、正社員への転換を雇う側に促すためとして、パートなどを一時的な仕事に限るといった規制の強化が議論される。
 だが規制を強めることで、契約期間に定めのある人たちの処遇が改善するかは疑問だ。円高で企業は海外移転を急ぎ、コスト削減に必死になっている。人件費の増加を嫌い、正社員への登用は進まないのではないか。期限付きの契約を認める仕事を限定すれば、働けなくなる人が増えるだけという懸念がある。
 総務省の労働力調査によると、有期労働者は契約期間が1年以内の人だけでも2009年に751万人と雇用者数の14%弱を占める。完全失業率は8月も5%と高い。規制強化が招く雇用不安は深刻になろう。
 学識者からなる厚生労働省の有期労働契約研究会は先ごろ、審議会の議論のたたき台となる報告をまとめた。期限付きで契約を結べる仕事を一時的、季節的な業務に限ったり、契約の更新回数に上限を設けたりすることなどの検討を求めている。
 上限を超えて契約が更新された場合、正社員のように「期間の定めのない雇用契約」に移ったとみなすなどの仕組みも挙げている。
 こうした規制ができた場合に懸念されることはいくつもある。企業は雇用契約を、更新の上限に達する直前で打ち切ろうとするのではないか。そうすると、これまで繰り返し契約を交わしてきたパート社員などは働き続けることができなくなる。
 契約を結べる仕事が限られ、非正規の労働力が使いにくくなれば、企業の海外移転がいっそう進み、国内の雇用がさらに減りかねない。
 昨年7月の有期労働者に対する厚労省の調査では、労働時間や日数が希望に合うなどの理由で仕事に満足していると答えた人が5割強いた。自らの意思で期限の定めのある仕事に就いている人は多い。規制はそうした人たちを困らせる結果になる。
 正社員と同じような仕事なのに賃金が低い人は少なくない。期限付きで働く人の処遇の向上が大切なのはもちろんだ。それには原資となる企業の利益を増やす必要がある。労働力の使い勝手を悪くする規制の強化は処遇の向上を難しくしかねない。
 臨時国会では製造業への派遣などを原則禁止とする労働者派遣法改正案が審議される。これも企業の活動を制約する。労働者保護をうたって雇用不安を広げては本末転倒だ。▲

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