「非正規労働者の待遇改善は労組の役割を厳しく問うている」

■メーデー 祭典に水差す政権迷走
 (2010年4月29日『中日新聞』[社説])
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2010042902000030.html
 連合は二十九日、全労連は来月一日に東京・代々木公園でメーデー中央大会をそれぞれ開催する。政権交代後初めての祭典だが政治の迷走ぶりに水を差された形だ。足元固めを忘れてはいけない。
 連合の中央大会では鳩山由紀夫首相をはじめ政権与党の首脳があいさつに立ち、例年になく華やかな雰囲気に包まれるはずだ。すべての労働者の雇用と生活を守り希望の持てる社会の実現を目指す。そして「参議院選挙での必勝」を訴える。
 連合はすでに参院選での選挙区候補者四十五人の推薦を決めている。選挙協力を強め政権の基盤を強化する姿勢に揺るぎはない。
 だが、ここにきて微妙な変化も見える。鳩山首相、小沢一郎民主党幹事長のトップ二人の政治資金問題や米軍普天間飛行場の移設問題、高速道路料金をめぐる政府と与党との対立など地方組合員には失望と困惑が広がっている。
 報道機関の内閣支持率が軒並み20~30%台に急落していることもいら立ちの材料だ。この際、政権運営やマニフェスト(政権公約)見直しを進言すべきだ、との声も上がっている。
 労働組合が政治活動に取り組むことは当然の成り行きだが、上ばかり見ていては雇用対策など基本的活動がおろそかになる。
 二月の完全失業率は前月と同じ4・9%と高止まりしている。輸出企業を中心に業績回復が顕著だが、雇用拡大に結び付いていない。また若年労働者の高い失業率の解消も緊急課題である。
 今春闘での賃上げは微増にとどまる見込みだ。最低賃金の引き上げが次の課題である。
 労働者派遣法改正案が今国会で審議されている。製造業や登録型派遣の禁止など、使い捨てされてきた派遣労働者を保護する重要法案である。早期成立を政府・与党に強く働き掛けるべきだ。
 派遣やパート、契約社員など非正規労働者の待遇改善は労組の役割を厳しく問うている。広島電鉄(広島市)のように正社員と契約社員との均等待遇実現で労使が合意したことは注目される。
 連合の非正規労働センターの役割がますます重要だ。派遣業界との協議を通じて悪質業者の排除で一致したことは評価できる。さらに非正規労働者の組織化や労働相談などに取り組んでほしい。
 今年のポスターには「まもろう雇用、なくそう格差」と明記されている。労働者間の格差是正も労組が取り組むべき課題である。▲

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