「解雇権濫用」法理の適用判決

■雇用継続:期待権認める…雇い止めは解雇権乱用 大阪高裁
 (2010年6月30日0時18分『毎日新聞』)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100630k0000m040113000c.html
 京都府向日市の倉庫会社を60歳で定年退職後、同社に再雇用された大津市の男性(62)が、1年での雇用打ち切りを不服とし、同社に対し賃金の仮払いなどを求めた仮処分申請の抗告審で、大阪高裁は再雇用継続に対する男性の「期待権」を認め、仮払いを命じる決定を25日付で出した。65歳までの雇用確保を義務付けた改正高齢者雇用安定法(06年施行)を踏まえ、前坂光雄裁判長は「男性が雇用継続を期待することには合理性があり、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と判断した。
 29日に会見した男性の代理人の渡辺輝人弁護士によると、再雇用後の雇い止めを巡る争いで、雇用継続への期待権を認めた司法判断は全国で初めて。
 決定などによると、男性は67年、親会社に就職し、08年6月の定年まで子会社の倉庫会社で働いた。同社は同年、同法に基づき64歳までの再雇用制度を導入。男性も1年ごとに契約を更新する前提で再雇用されたが、09年6月、業績不振を理由に打ち切られた。
 高裁は、男性以外の被再雇用者の契約は更新されたことなどから「会社は雇用継続の努力を尽くしていない」と指摘。男性が定年まで勤め上げたことも考慮し、打ち切りは不適当と判断した。男性は京都地裁への仮処分申請が却下され、抗告していた。【古屋敷尚子】▲

■再雇用1年で継続期待権認める――大阪高裁 解雇権の乱用と結論
 (2010年06月29日23時29分『京都新聞』)
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20100629000186
 高年齢者雇用安定法に基づく再雇用制度を設けた会社の社員が、再雇用の1年後に雇い止めになったのは不当として、賃金の仮払いなどを求めた仮処分申し立ての抗告審で、大阪高裁(前坂光雄裁判長)は29日までに、「雇用継続の期待があった」として雇い止め無効と判断し、会社に仮払いを命じた。
 雇用継続の期待権は、従来の判例は複数年の契約更新がないと認めていないが、再雇用の今回は1年で認めた。代理人の弁護士は「初の司法判断で影響は大きい」と話した。
 申し立てたのは、東京都の倉庫会社の社員として、向日市の物流センターに勤務していた小牧明さん(62)=大津市。決定によると、小牧さんは2008年6月に定年退職し、64歳まで1年単位で契約更新する会社の制度に基づいて再雇用された。しかし、不況を理由に09年6月に契約更新されなかった。
 25日付の高裁決定は「就業規則は一定の基準を満たす者の再雇用を明記し、1年ごとに同じ基準で反復更新するとしていた。雇用が継続されるとの合理的期待があったと言える」と判断した。その上で、同社が雇い止めを回避する努力を怠ったことに触れ、解雇権の乱用に当たると結論付けた。▲

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