阪大の研究室で信じられない不正行為

非常勤研究員の弱みにつけこんだ、許せない不正行為です。
この事件を機に、阪大を含む多くの大学が非常勤研究員の雇われかたそのものを考え直すべきです。

■大阪大学医学部 研究室で給与をキックバック 元教授関与を否定
 (2010.6.13 02:00 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100613/crm1006130201002-n1.htm
 大阪大学大学院医学系研究科・医学部の元教授(64)の研究室で、非常勤の研究員が毎月、大学から受け取った給与の約半額を“キックバック”の形で研究室内の事務担当者に返金するよう研究室側から指示され、その金は部外者に分からないようプールされていた疑いがあることが12日、産経新聞の取材で明らかになった。阪大は公金である研究員の給与が、返金させられた事態を重くみて、学内で調査委員会を立ち上げ本格調査に乗り出すとともに、文部科学省にも通報した。
 阪大や複数の関係者によると、要求されていたのは中国籍の30代男性。
 この男性は、独立行政法人「科学技術振興機構」(JST)から、この元教授の研究室が受託した研究に携わるため、平成20年5月から阪大と雇用契約を結び、「特任研究員」と呼ばれる非常勤の研究員として勤務していた。JSTは16~21年度の6年間、研究費として約5千数百万円を阪大に支給しており、阪大はこの中から研究員に給与を支払っていた。
 研究員の給与は原則的に時給制で、就業時間などの雇用条件は研究室で決定できるといい、男性は当初、毎月約10万円の給与を受け取っていた。
 ところが20年秋ごろ、研究室の会計担当者らから、「JSTの研究費が700万円余るので使い切りたい。手取り分として5万円を上乗せするから、振り込んだうち半分を返金してほしい」と持ちかけられ、了承した。
 翌月から約1年間、男性の銀行口座には毎月三十数万円が振り込まれるようになったが、男性は約半額の15万円程度を毎回引き出し、事務担当者に現金で手渡していた。事務担当者はこの金を研究室関係者の名義とみられる口座に入金していたという。キックバックの総額は200万円前後に上るとみられるという。
 男性は産経新聞の取材に「要求を断り切れなかった。働き続けたかったので、大学に通報もできなかった」と話している。
 JSTは阪大から勤務表の提出を受けるなどして研究費の使途をチェックしていたが、給与として支給した後については「把握できない」としている。
 この研究室をめぐっては、他の研究員も給与の約半額の返還を一時、求められたが、拒否したことを産経新聞に証言している。
 阪大は5月末に副学長をトップとする調査委員会を設置。プール金の使途などについて本格的な調査に乗り出している。
 元教授は産経新聞の取材に対し「私は教授なので出張が多くすべて担当制にしていた。担当者に責任を持ってやってもらっている」と釈明し、関与を否定している。
 元教授は昭和62年に阪大医学部教授に就任。今年3月に退職し、現在は特任教授。▲

■阪大キックバック受け 研究生「悩み続けた」
 (2010.6.13 02:00 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100613/crm1006130201003-n1.htm
 「大学には打ち明けられず、悩み続けた」。大阪大学大学院医学系研究科・医学部の元教授(64)の研究室で約1年間にわたり、給与の半額をキックバックしていた中国籍の元特任研究員の30代男性は、悔しそうに話した。公金が不可解な流れを経て、研究室側の銀行口座に入金されていた事態に、阪大も調査に乗り出した今回の疑惑。関西随一の名門医学部の研究室で何が行われてきたのか。
 阪大・吹田キャンパス(大阪府吹田市)にそびえる医学系研究棟9階の一室。この研究室の中で、不透明な金のやりとりが繰り返されていたという。
 「疑問に感じながらも30万円をもらって15万円を返すことに承諾した」。産経新聞の取材に対し、男性は研究室側からキックバックを持ちかけられた平成20年秋のことをこう話した。
 男性にはこの3カ月ほど前に子供が生まれていた。当時の給与は10万円。新たに家族が増えた家庭には、決して満足な額ではなかった。そこに舞い込んできたキックバックの依頼。手取り額が約5万円アップするだけに、男性は承諾し、翌月から振り込まれた約30万円のうち、半額の約15万円を指示通りに事務担当者に渡していたという。
 ただ、男性は不思議に思いながらも、研究室のトップだった元教授には直接この件について尋ねることはできなかった。「教授は絶対的な存在だったから」という。現在、男性は研究室を辞めているが、「日本でこんなことがあるのはとても残念だ。中国ではありえない」と話した。
 また、別の特任研究員の女性も同じころ、研究室の上司から給与を増やす代わりに、口座への振り込みの半額を研究室に戻すよう強要された。しかし、女性は「不正ではないか」と思い拒絶。その数日後、再度「できないか」と尋ねられたが、改めて断ったという。
 女性の給与は当時約10万円だったが、こうしたやりとりのあった後の21年6月には約3万円に減額された。特任研究員の給与は時給制で、研究室が雇用条件を決める。女性は6月以降、1日1時間の勤務となった。
 女性は「上司には誰も逆らえない。私が従わないから、腹いせでやったのは明らかだ」と訴えている。
 この件で調査委員会を立ち上げた阪大は「給与が全額本人に支払われていなかったとすれば大きな問題。厳正に調査する」としている。▲

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