脇田滋さん(龍谷大学)からのメッセージ

■集会へのメッセージ

 昨年改正された労働契約法は、本来なら、①常用原則を明確にして、有期雇用の「入口規制」を導入すること、②有期雇用が例外的に認められる場合にも、正規雇用との均等以上の待遇を保障する規制を導入すべきでした。しかし、これらの規制は回避されています。とくに、労働契約法自体、「これまでの労働裁判例以上でも以下でもない」という曖昧きわまりない性格の法規制です。条文で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」といった裁判の判決文でしか使われない用語を多用した奇妙な立法です。一般の市民、労働者が簡単に理解できる文言ではありません。労働法学者の間でさえ、条文が何を意味しているのか、各人各様で、見解の差が小さくありません。ブラック企業的労務管理が横行・蔓延する、現実の日本の雇用社会の状況では、企業・経営者に身勝手な解釈の余地を与えることになるのは目に見えています。一部に「5年後の無期契約」化などに期待する声もありますが、曖昧な性格の法律規定の解釈論議や、木を見て森をみない「労働契約法活用論」に陥ることは危険です。
 ILO、EU諸国では「常用雇用」を原則に、「有期雇用」は例外としています。また、雇用不安定な有期雇用には、正規雇用をはるかに上回る賃金・手当が支給されても「均衡」がとれるか疑問です。同一労働同一賃金の原則に反して、賃金、社会保障で不利に扱われる「日本的」非正規雇用は、「世界の非常識」です。このことを多くの人々に知らせ、正しい認識を広げることが必要です。数が力です。状況を打開するには、非正規労働者の声を受けとめ、「日本的」非正規雇用撤廃を目指して闘う「労働者連帯」の拡大しかありません。
 2月2日の「なんで有期雇用なん!?」集会は、こうした連帯を拡大する、重要な意義を持つ集会です。残念ですが、私は韓国で学会があるために参加できませんが、ご盛会を心より祈念します。

2013年1月29日  脇田 滋(龍谷大学)

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