大椿さん執筆記事「有期雇用では労働者守れぬ」

■有期雇用では労働者守れぬ
  労働組合役員 大椿 裕子
  (神戸市兵庫区 38)

 厚生労働省の労働政策審議会は、契約社員や期間従業員などの有期雇用契約について上限を5年とする建議を小宮山洋子厚労相に提出した。本人から申し入れがあれば無期雇用に転換する仕組みも導入した。
 審議会に出席していた連合の労働者側委員は、この法案に「特段の異論はありません」と回答した。果たしてこの法案が有期雇用労働者の保護になるかどうか、私は非常に疑問に思う。
 私は2010年3月末、有期雇用を理由に私立大学を雇い止めで解雇された。契約期間は1年ごとの更新で4年勤務した。解雇撤回の争議は現在も継続している。
 大学の有期雇用労働者の契約期間の多くは3~5年に集中している。上限を設けたところで5年以下の契約期間の場合、解雇・雇い止めは免れない。契約期間を更に短く設定する雇用主が増え、解雇・雇い止めのサイクルはより短期化するだろう。
 また厚労省は、無期雇用に転換後も「有期契約時の待遇を引き継ぐ」と言っており、正規労働者との待遇格差は縮まらない。上限を設けず、恒常的な業務は「原則無期雇用」としなければ、解雇・雇い止めは今後も後を絶たない。実効性が伴う法案を望みたい。

【2012年1月21日『朝日新聞』(関西版)「声」欄掲載 *ブログ掲載について本人に確認・了解済み】▲

*この記事にかける大椿さんの想いや、掲載におけるエピソードなどが、こちらのブログエントリに書かれています。ぜひあわせてお読みください。

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