「均等法25年――大きな節目だが課題は多い」

■均等法25年
 (2011年6月17日『宮崎日日新聞』社説) [→出典リンク先
◆大きな節目だが課題は多い
 男女雇用機会均等法が施行されたのは25年前のことだ。
 まず定年や解雇などで女性への差別的な扱いを禁止した。その後の改正によって、当初は努力義務だった募集・採用や配置、昇進の差別も禁止。さらに妊娠や出産を理由とする不利益な扱いを禁じる規定も盛り込まれ、事業主はセクシュアルハラスメントへの対応を義務付けられた。
 では、実際に女性は働きやすくなったか。
 厚生労働省がまとめた一連のデータを見ると、男性に比べ依然として勤続年数は短く、管理職比率も低い。
 各地の労働局でセクハラの相談件数はなかなか減らない。
■険しい「解消」への道■
 確かに、女性の就業者数は増えた。待遇面での男女間の格差も一定程度、是正されてきたが、格差解消への道のりは険しいと言わざるを得ない。
 それに加え、長引く景気低迷や働き方の多様化も踏まえ、女性の職場環境をどう底上げしていくか。施行四半世紀という大きな節目を迎えて、課題は多い。
 さらなる取り組みが求められている。
 厚労省の「働く女性の実情」によると、女性の就業者は昨年、2641万人に上り、前年と比べ3万人増えた。男性の就業者が前年より29万人減って3615万人となり、家計を支える女性が増えたとみられる。
 1218万人が派遣やパートなど非正規で働いており、自営業者などを除く雇用者に占める割合は過去最高の53・8%だった。
■2、3年横ばい状態■
 女性の職場環境を均等法施行(1986年)当時と比較すると、平均勤続年数は7・0年から8・9年に、管理職(課長級以上)に占める割合は1・6%から6・2%に上昇している。
 また2010年度に労働局に寄せられたセクハラの相談は1万1700件余り。妊娠や出産などを理由とする不利益な扱いの相談も約3600件あった。
 いずれも、この2、3年、横ばい状態が続いている。均等な取り扱いは浸透してきているが、いまだ実質的な機会均等が確保されたとは言い難い状況にあるというのが厚労省の総括だ。
 だが働く女性を支援する団体や専門家の見方はもっと厳しい。
 均等法は一定の成長が続いていた時代に正社員を主な対象として男性との格差解消を目指した法律で、非正規の問題にまで対応できないとの指摘もある。
 大震災後、各地の労働局の雇用均等室に設けられた特別相談窓口には、子どもを県外避難させるため休んだところ上司から退職を求められたなどという相談が相次いでいるという。
 一つ一つの事例に、きめ細かく対応しつつ実態把握を急ぎ、女性が安心して働ける環境づくりにつなげてほしい。▲

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