不安定な非正規労働者が急増する一方で、正社員が働きすぎて過労死したりメンタルな病にかかる現実・・・。
憲法がすべての国民に基本的人権として保障する「人間らしい仕事」を実現するために雇用と労働のあり方を問う!
■今週の本棚・新刊:『人権としてのディーセント・ワーク』=西谷敏・著(旬報社・2100円)
(2011年2月27日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/enta/book/news/20110227ddm015070010000c.html
「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と菅首相は連呼したけれど、雇用の量もさることながら、雇用の質はどうなのか。非正規など不安定で劣悪な条件の雇用が増えるだけなら、ますますワーキング・プアを増やすことにもなる。その一方で、正社員の過労死が後を絶たない。だからこそ人権としての「ディーセント・ワーク」を、と労働法学者の著者は言う。
もともと「ディーセント・ワーク」=「働きがいのある人間らしい仕事」は、ILOが一九九九年に掲げたもの。でも実は、スミス『国富論』にも、すでに「ディーセント」という言い回しがあった。贅沢(ぜいたく)や華美ではない「人間らしいまともな」生活。二世紀以上も前に語られたこの語が、今、労働のありようを巡って切実さを増している。(達)▲
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