解雇権濫用法理の類推適用について

■【大失業時代】(1)派遣切り許さない
 (2009年3月23日 asahi.com>関西)
http://www.asahi.com/kansai/mini-rensai/OSK200903210082.html
より、以下部分引用。
 まだ契約期間が残っているのに、雇用契約を打ち切られる。これは解雇で、正社員と同じく厳しく規制されている。労働契約法により、解雇に合理的な理由がなく、社会通念上認められない場合は、「解雇権の乱用」で無効となる。同法はさらに、有期契約の期間途中の解雇は「やむを得ない事由」がなければ許されないと明記。正社員以上に厳しくクギを刺す。
 一方、契約期間が満了して契約更新をしてもらえない「雇い止め」は、解雇とは異なる。だが、雇い止めにも制限がある。非正社員の労働事件に取り組む永嶋里枝弁護士(大阪弁護士会)は「更新を繰り返し、実質は期間の定めがない雇用と変わらない場合、『解雇権乱用』の法律的な考え方を適用するなどして、雇い止めを無効とした判例がいくつもある」と説明する。

学習討論会「理由のない有期雇用契約禁止を求める」

============= 学 習 討 論 会 =============

◎ 「理由のない有期雇用契約禁止を求める」 ◎

◇ 日時 2010年7月27日(火)午後6時30分
◇ 場所 エルおおさか604号室
◇ 講師 永嶋里枝さん(弁護士)

○・o。。o・○・o。。o・○・o。。o・○・o。。o・○・o。。o・

 ☆ 合理的な理由のない有期雇用契約の禁止!
 ☆ 働く人生を勝手に区切らないで!
 ☆ 同じ価値の仕事には同じ賃金、労働条件を!

 非正規と呼ばれる雇用が労働者の1/3を超え、女性については過半数の働きかたとなってしまいました。パートであれ派遣であれ、非正規雇用を特徴づけるのが有期雇用契約です。90年代からパート雇用に導入され始めた有期契約は、派遣雇用の拡がりとともに一般化し、さらに1年から6か月、3か月、1ヶ月へと細切れ化が進んでいます。しかしその有期雇用の実態は、契約更新を何度も繰り返し、勤続10年以上という例も珍しくはありません。

 臨時的な仕事ではない、恒常的な仕事であるのに、なぜ根拠もなく企業は有期契約を繰り返すのでしょうか。その一番の理由は、「契約期間満了」を理由とする雇い止め解雇をするためです。人件費を自由に削減できる雇用に、企業は魅力を感じているのです。一方、働くものにとって有期契約は、雇い止め解雇が心配で理不尽な待遇やハラスメントがあっても声を上げることができないという低い身分を押しつけるものとなっています。契約更新が迫ると、心身の不調を訴える労働者が少なくありません。

 このような有期雇用契約が多くの労使紛争を生みだしているなかで、厚生労働省は一定のルールを作るため、法制化の準備を始めています。できあがる法律が、有期雇用契約を規制するものとなるのか、逆に「こうすれば大丈夫」とのお墨付きを与えるだけのものとなってしまうのか、今、大切な時期が訪れています。

 企業業の横暴、それを認める政治や司法に、「合理的な理由のない有期雇用契約の禁止」を訴えていきましょう。働いて生活する私たちの人生を、企業の理屈で区切らせないために。

◇ 主催 コミュ二ティ・ユ二オン関西ネットワーク
    働く女性の人権センターいこ☆る
    派遣労働ネットワーク・関西
◇ 連絡 06-6942-0219(労働組合なにわユ二オン

cf.
昭和設計 契約社員雇い止め事件
(株)毛髪クリニックリーブ21 裁判

「解雇権濫用」法理の適用判決

■雇用継続:期待権認める…雇い止めは解雇権乱用 大阪高裁
 (2010年6月30日0時18分『毎日新聞』)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100630k0000m040113000c.html
 京都府向日市の倉庫会社を60歳で定年退職後、同社に再雇用された大津市の男性(62)が、1年での雇用打ち切りを不服とし、同社に対し賃金の仮払いなどを求めた仮処分申請の抗告審で、大阪高裁は再雇用継続に対する男性の「期待権」を認め、仮払いを命じる決定を25日付で出した。65歳までの雇用確保を義務付けた改正高齢者雇用安定法(06年施行)を踏まえ、前坂光雄裁判長は「男性が雇用継続を期待することには合理性があり、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と判断した。
 29日に会見した男性の代理人の渡辺輝人弁護士によると、再雇用後の雇い止めを巡る争いで、雇用継続への期待権を認めた司法判断は全国で初めて。
 決定などによると、男性は67年、親会社に就職し、08年6月の定年まで子会社の倉庫会社で働いた。同社は同年、同法に基づき64歳までの再雇用制度を導入。男性も1年ごとに契約を更新する前提で再雇用されたが、09年6月、業績不振を理由に打ち切られた。
 高裁は、男性以外の被再雇用者の契約は更新されたことなどから「会社は雇用継続の努力を尽くしていない」と指摘。男性が定年まで勤め上げたことも考慮し、打ち切りは不適当と判断した。男性は京都地裁への仮処分申請が却下され、抗告していた。【古屋敷尚子】▲

■再雇用1年で継続期待権認める――大阪高裁 解雇権の乱用と結論
 (2010年06月29日23時29分『京都新聞』)
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20100629000186
 高年齢者雇用安定法に基づく再雇用制度を設けた会社の社員が、再雇用の1年後に雇い止めになったのは不当として、賃金の仮払いなどを求めた仮処分申し立ての抗告審で、大阪高裁(前坂光雄裁判長)は29日までに、「雇用継続の期待があった」として雇い止め無効と判断し、会社に仮払いを命じた。
 雇用継続の期待権は、従来の判例は複数年の契約更新がないと認めていないが、再雇用の今回は1年で認めた。代理人の弁護士は「初の司法判断で影響は大きい」と話した。
 申し立てたのは、東京都の倉庫会社の社員として、向日市の物流センターに勤務していた小牧明さん(62)=大津市。決定によると、小牧さんは2008年6月に定年退職し、64歳まで1年単位で契約更新する会社の制度に基づいて再雇用された。しかし、不況を理由に09年6月に契約更新されなかった。
 25日付の高裁決定は「就業規則は一定の基準を満たす者の再雇用を明記し、1年ごとに同じ基準で反復更新するとしていた。雇用が継続されるとの合理的期待があったと言える」と判断した。その上で、同社が雇い止めを回避する努力を怠ったことに触れ、解雇権の乱用に当たると結論付けた。▲

龍谷大学「嶋田ミカさんの雇用継続を求める会」賛同のお願い

龍谷大学の助手を雇い止めになった嶋田ミカさんが、裁判に向けて賛同人を募っています。
みなさん、よろしくお願いいたします。

【以下転送歓迎です】
2010年6月23日
「嶋田ミカさんの雇用継続を求める会」賛同人のお願い
「嶋田ミカさんの雇用継続を求める会」
代表 田中宏

龍谷大学特別任用教員助手の嶋田ミカさんが、本年3月、「雇い止め」を通告されたことをご存知ですか。嶋田さんは2007年4月に経済学部サービス・ラーニングセンターに3年契約(一回更新可)の助手として採用されましたが、大学当局から何らの理由も明らかにされることなく、単に「期間終了」というのみで解雇されました。大学当局の行為は、とうてい納得のできるものではありません。

嶋田さんは民際学の研究者としての業績だけでなく、インドネシアの貧困女性を対象にマイクロ・クレジットを供与するという地道な活動も続けています。嶋田さんのこうした研究業績や実践がサービス・ラーニング・センター助手の仕事にも生かされたことはいうまでもありません。

龍谷大学は、建学の精神(浄土真宗の精神)に基づく、すべての「いのち」が平等に生かされる「共生(ともいき)」の理念を掲げています。「人間のポイ捨て」に等しい今回の雇い止めは、この建学の精神に合致しているとは思えません。
この間、嶋田さんは、龍谷大学教職員組合を通じて大学当局と交渉を続けてきましたが、大学当局の態度は全く変わりませんでした。嶋田さんは今回の雇い止めは、あまりに理不尽であると考え、やむなく、7月5日京都地方裁判所に提訴することにしました。

最近、多くの大学で所謂「高学歴ワーキングプア」と称される非正規の教員が増加し、理由なき有期雇用や「雇い止め」が横行しています。しかし、ほとんどの人が次の就職などを考え、泣き寝入りせざるを得ないという現状です。

この流れを止めるためにも自分が声をあげなければという嶋田さんの堅い決意に対して、私たちは「嶋田ミカさんの雇用継続を求める会」を発足させて、全力で支援していこうと考えています。嶋田さんの闘いを支えるために、この会の賛同人になっていただきますようお願い申し上げます。賛同していただける方は、下記の「賛同人申し込みフォーム」にご記入の上、第一次締め切り7月3日までに下記のメールかFAXで事務局に送ってください。

嶋田さんの雇用継続を求める会
〒556-0022 大阪市浪速区桜川2-13-15 外国人政策懇話会気付
Tel&Fax:06-7492-7166
E-Mail:s.koyokeizoku@gmail.com
事務局担当:嶋川まき子 林真司

呼び掛け人一覧(6月23日現在、五十音順)
代表:田中宏(元龍谷大学経済学部特別任用教授・一橋大学名誉教授)
生田武志(野宿者ネットワーク代表)
井上昌哉(京都大学時間雇用職員組合ユニオンエクスタシー世話人)
小川恭平(京都大学時間雇用職員組合ユニオンエクスタシー世話人)
小川裕子(生活保護施設職員)
片山一義(札幌学院大学経済学部教員)
角岡賢一(龍谷大学経営学部教授)
北上田毅((特活)京都サマール友好協会理事長)
久場嬉子(元龍谷大学経済学部特別任用教授・東京学芸大学名誉教授)
竹中恵美子(元龍谷大学経済学部特別任用教授・大阪市立大学名誉教授)
戸村京子((特活)チェルノブイリ救援・中部理事)
中村尚司(龍谷大学研究フェロー・(特活)JIPPO専務理事
春山文枝(多目的カフェかぜのね協同経営者・元京都精華大学人文学部准教授)
古屋哲(大谷大学非常勤講師)
細川孝(学術人権ネットワーク事務局次長・龍谷大学経営学部教員)
丸山里美(立命館大学産業社会学部准教授)
宮田弘(京都市交通局職員)
望月太郎(大阪大学大学教育実践センター教授)
森石香織(看護師)
屋嘉比ふみ子(ペイ・エクイティ・コンサルティング・オフィス代表)
山崎淳子(元京都橘高等学校教員)
山根実紀(京都大学大学院教育学研究科院生)
山原克二(ゼネラルユニオン委員長)
脇田滋(龍谷大学法学部教授)
嶋川まき子(元高等学校教員・女性卒業生のための労働相談室主宰)
林真司(外国人政策懇話会世話人)

▼賛同人申し込みフォーム
ふりがな:
お名前:
所属:
肩書き:
メールアドレス:
住所:〒
電話番号
  勤務先:
  自宅・携帯:
お名前の公表 可(  )不可(  )
 *いずれかに○
メール登録 可(  )不可(  )
 *いずれかに○

▼賛同団体申し込みフォーム
団体名:
代表者:
メールアドレス:
電話番号:
所在地:〒
メール登録 可(  )不可(  )
 *いずれかに○

「正社員の多様化を提言=非正規との格差是正で-厚労省研究会」

■正社員の多様化を提言=非正規との格差是正で-厚労省研究会
 (2010/06/24-19:12 時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010062401034
 労働政策全般のあり方を論議する厚生労働省の雇用政策研究会(座長・樋口美雄慶大教授)は24日、正社員と非正規労働者との格差を是正するため、正社員の多様化を推進するよう求める報告書案をまとめた。近く正式決定し、厚労省はこれを基に中期的な雇用政策の基本方針を策定する。
 報告書案は非正規労働者が3人に1人の割合にまで増加した結果、給与や教育訓練に関する格差が拡大したと指摘。対策として「正社員の多様な働き方を検討し、正規・非正規の二極化構造を解消することが望まれる」と強調している。
 具体的には正規と非正規の中間の雇用形態として、職種や勤務地限定の正社員を例示。これらの普及により、短期契約の更新を繰り返す「細切れ雇用」を防止できるほか、「非正規労働者がステップアップする手段にもなり得る」との見方を示している。▲

大阪大学・鷲田清一総長に直談判!

この「大学非正規労働者の雇い止めを許さない関西緊急集会」実行委員会の中心メンバーでもある関単労阪大分会の加藤さんから、サプライズ報告!がありました。以下です。
■今日の夕方、豊中キャンパスで分会ニュース配りをしていたところ、「総長ラウンド2010」なる催しに出くわし、なんと、私、鷲田総長と直談判をしたのです。偶然の出来事ながら面白かった!その様子です。

会場の受付で様子伺いしていたら、担当者が「どうぞ、お入りください。総長の隣の席が空いていますよ」と勧めてくれたので、私は総長の隣の席に、、、。

すぐに、5分間の休憩となり、さっそくニュースを総長に差し出し話はじめたら、職員が飛んできてさえぎった。でも、総長「僕はいいよ」と言ったのであります。

加藤「非常勤の実態について何もご存知じゃないのではないか。私たちの話を聞いてもらいたい」「法人化前からの非常勤は何十年と、、、」と、うんぬんかんかんと言い始めると、

総長「実態をよく知っている。特例職員など、私らがつくったのだから、、、手紙ももらっている」

加藤「非常勤を辞めさせないでほしい。きちっと話を聞いてほしい」

総長「ニュースは読ませてもらう」

加藤「私たちと話し合いをしてほしい、正式に申し込みます。申込書も出します」「京大でも闘っている。京大出身でしょ。これも読んでください」と、くびくびカフェのチラシも渡す。

総長は終始むっとした顔だった。

その後、私は後方へ移動。気がつくと、5人ほど大学職員が増えており、私、監視の下に。帰路についても、はるか彼方にこちらを見続ける職員の姿あり。

■「総長ラウンド2010」の会場は、この2月に学内で「大討論会」をやったところ。学生と総長の対話集会のようだが、何しろ大学本部学生部キャリア支援課の企画の下に行われていて、出来レースの集まりでした。
これをふまえて、阪大分会では抗議・要求書を提出する予定です。
さて、総長はどのように対応してくださるのでしょうか?

「グローバル経済」への「女性」の「活用」「戦略」には反対です。

大沢先生は純粋に良心から提言してくださっているのでしょうが、私たちはそれには乗れません。国家や企業の「戦略」に「動員」する名目でないと、女性労働は変革できないのでしょうか?(もちろん、「税制や社会保障制度」の「改善」は必要です。しかし、それとこれとは切り離しても考えられるはず)。

■働くナビ:男女共同参画計画が今年、改定されます。 大沢真理氏の話
 (2010年6月14日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/life/today/news/20100614ddm013100035000c.html
 ◇成長戦略として位置づけて
 00年の第1次計画策定にかかわった、東京大社会科学研究所の大沢真理教授に、今回の答申案についての評価と課題を聞いた。
     *
 「反省」から入っているのは良いことだ。ただ、男女共同参画が進まなかった理由として、ほとんどすべての項目に「国民の意識」が前面に出てくるのは違和感がある。政治家や行政が責任を持って、法律や制度の改正を進めるべきだ。
 税制や社会保障制度の中に、女性の就業を阻害する要素があり、それが改善されないことで何が起きているか。リーマン・ショックで日本経済は激しく落ち込み、諸外国に比べ回復が遅れている。これは、グローバル経済の変動に対し、女性が活用されず、男性稼ぎ主中心の社会経済システムがいかにもろいか、ということを示している。大黒柱が1本ではそれが倒れれば全部崩れる。消費が必要な時も貯蓄に走り、内需が低迷する。男女共同参画は、成長戦略として位置づけられるべき重要なテーマだ。▲

「男女共同参画計画が今年、改定されます。」

■働くナビ:男女共同参画計画が今年、改定されます。
 (2010年6月14日『毎日新聞』東京朝刊)
http://mainichi.jp/life/today/news/20100614ddm013100028000c.html
 ◆男女共同参画計画が今年、改定されます。
 ◇女性の雇用、依然厳しく 反省盛り込み「答申案」
 ◇賃金、男性の69・8%/進む非正規化
 男女が対等な立場で活躍できる社会を目指す「男女共同参画基本計画」の第3次基本計画(11年度から5年間)が年内に策定される。00年の第1次計画から10年が過ぎたが、政府の男女共同参画会議は今春、「10年たっても男女共同参画社会は実現していない」との反省を盛り込んだ「第3次計画策定に当たっての考え方(答申案)」をまとめ、女性に厳しい雇用の現状や問題点を指摘した。答申は月内にも菅直人首相に提出される見通しだ。
 男女の賃金格差は改善されてきたとはいえ、09年で女性労働者(短時間労働者を除く)の賃金の平均は男性の69・8%にとどまる。他の先進諸国が男性の8割前後の水準にまで達しているのと比較すると、日本での賃金格差は依然として大きい。
 格差の背景には、結婚、出産を機に離職する女性が多く、男性に比べて勤続年数が短く、正社員として再就職が難しいことが挙げられる。また、仕事と家事の両立は妻側に求められることが多いため、長時間労働や転勤を前提にした働き方は女性にとって制約がある。このため、昇進や昇格が難しいという現状を指摘している。
 答申案は問題解決のため、長時間労働の抑制や仕事と家庭の両立支援を進め、女性が働き続けられる環境整備を訴えている。また、「女性の仕事の質の向上」も求めており、案のとりまとめにかかわった鹿嶋敬実践女子大教授は「(基幹的業務を担う)総合職の女性は100人中、5、6人に過ぎない。仕事を続けても管理職にもなれず、非正規の方が多い現状では、家庭との両立に苦労してまで仕事を続けようとは思わない」と指摘する。
 また、パートタイム労働者と正社員との待遇を近づけていくことも盛り込まれた。正規、非正規の区分や男女の別にかかわらず、価値が同じ労働は同じ賃金とする「同一価値労働同一賃金」の実現に向けた法制化などを検討するよう訴えた。近年「派遣切り」が社会問題化したが、女性労働者の非正規化が一層進んだことも深刻だ。男性労働者の8割が正社員であるのに対して、女性は非正規雇用労働者が半数を超えており、ここでも男女の格差は大きい。
 共働き世帯は08年度で1011万世帯と、専業主婦のいる世帯の825万世帯を大きく上回る。また、離婚の増加や未婚による単身世帯の割合も増加しているが、現在の税制や年金などは「夫が働き、妻は専業主婦」という世帯単位が前提となっている。このため、答申案では個人単位を軸とした制度・慣行に移行していくように求めている。
 また、ほとんどの年齢層で、女性の相対的貧困率が男性を上回っていると指摘。特に単身の高齢女性や母子家庭の貧困率は高い。本来は貧困を緩和するはずの税制や社会保障制度が、ひとり親世帯や共働き世帯の貧困率を引き上げる背景になっていることも指摘された。答申案は、苦しい生活を強いられている人への支援や制度改正の必要性を強調している。【山崎友記子】▲

阪大の研究室で信じられない不正行為

非常勤研究員の弱みにつけこんだ、許せない不正行為です。
この事件を機に、阪大を含む多くの大学が非常勤研究員の雇われかたそのものを考え直すべきです。

■大阪大学医学部 研究室で給与をキックバック 元教授関与を否定
 (2010.6.13 02:00 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100613/crm1006130201002-n1.htm
 大阪大学大学院医学系研究科・医学部の元教授(64)の研究室で、非常勤の研究員が毎月、大学から受け取った給与の約半額を“キックバック”の形で研究室内の事務担当者に返金するよう研究室側から指示され、その金は部外者に分からないようプールされていた疑いがあることが12日、産経新聞の取材で明らかになった。阪大は公金である研究員の給与が、返金させられた事態を重くみて、学内で調査委員会を立ち上げ本格調査に乗り出すとともに、文部科学省にも通報した。
 阪大や複数の関係者によると、要求されていたのは中国籍の30代男性。
 この男性は、独立行政法人「科学技術振興機構」(JST)から、この元教授の研究室が受託した研究に携わるため、平成20年5月から阪大と雇用契約を結び、「特任研究員」と呼ばれる非常勤の研究員として勤務していた。JSTは16~21年度の6年間、研究費として約5千数百万円を阪大に支給しており、阪大はこの中から研究員に給与を支払っていた。
 研究員の給与は原則的に時給制で、就業時間などの雇用条件は研究室で決定できるといい、男性は当初、毎月約10万円の給与を受け取っていた。
 ところが20年秋ごろ、研究室の会計担当者らから、「JSTの研究費が700万円余るので使い切りたい。手取り分として5万円を上乗せするから、振り込んだうち半分を返金してほしい」と持ちかけられ、了承した。
 翌月から約1年間、男性の銀行口座には毎月三十数万円が振り込まれるようになったが、男性は約半額の15万円程度を毎回引き出し、事務担当者に現金で手渡していた。事務担当者はこの金を研究室関係者の名義とみられる口座に入金していたという。キックバックの総額は200万円前後に上るとみられるという。
 男性は産経新聞の取材に「要求を断り切れなかった。働き続けたかったので、大学に通報もできなかった」と話している。
 JSTは阪大から勤務表の提出を受けるなどして研究費の使途をチェックしていたが、給与として支給した後については「把握できない」としている。
 この研究室をめぐっては、他の研究員も給与の約半額の返還を一時、求められたが、拒否したことを産経新聞に証言している。
 阪大は5月末に副学長をトップとする調査委員会を設置。プール金の使途などについて本格的な調査に乗り出している。
 元教授は産経新聞の取材に対し「私は教授なので出張が多くすべて担当制にしていた。担当者に責任を持ってやってもらっている」と釈明し、関与を否定している。
 元教授は昭和62年に阪大医学部教授に就任。今年3月に退職し、現在は特任教授。▲

■阪大キックバック受け 研究生「悩み続けた」
 (2010.6.13 02:00 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100613/crm1006130201003-n1.htm
 「大学には打ち明けられず、悩み続けた」。大阪大学大学院医学系研究科・医学部の元教授(64)の研究室で約1年間にわたり、給与の半額をキックバックしていた中国籍の元特任研究員の30代男性は、悔しそうに話した。公金が不可解な流れを経て、研究室側の銀行口座に入金されていた事態に、阪大も調査に乗り出した今回の疑惑。関西随一の名門医学部の研究室で何が行われてきたのか。
 阪大・吹田キャンパス(大阪府吹田市)にそびえる医学系研究棟9階の一室。この研究室の中で、不透明な金のやりとりが繰り返されていたという。
 「疑問に感じながらも30万円をもらって15万円を返すことに承諾した」。産経新聞の取材に対し、男性は研究室側からキックバックを持ちかけられた平成20年秋のことをこう話した。
 男性にはこの3カ月ほど前に子供が生まれていた。当時の給与は10万円。新たに家族が増えた家庭には、決して満足な額ではなかった。そこに舞い込んできたキックバックの依頼。手取り額が約5万円アップするだけに、男性は承諾し、翌月から振り込まれた約30万円のうち、半額の約15万円を指示通りに事務担当者に渡していたという。
 ただ、男性は不思議に思いながらも、研究室のトップだった元教授には直接この件について尋ねることはできなかった。「教授は絶対的な存在だったから」という。現在、男性は研究室を辞めているが、「日本でこんなことがあるのはとても残念だ。中国ではありえない」と話した。
 また、別の特任研究員の女性も同じころ、研究室の上司から給与を増やす代わりに、口座への振り込みの半額を研究室に戻すよう強要された。しかし、女性は「不正ではないか」と思い拒絶。その数日後、再度「できないか」と尋ねられたが、改めて断ったという。
 女性の給与は当時約10万円だったが、こうしたやりとりのあった後の21年6月には約3万円に減額された。特任研究員の給与は時給制で、研究室が雇用条件を決める。女性は6月以降、1日1時間の勤務となった。
 女性は「上司には誰も逆らえない。私が従わないから、腹いせでやったのは明らかだ」と訴えている。
 この件で調査委員会を立ち上げた阪大は「給与が全額本人に支払われていなかったとすれば大きな問題。厳正に調査する」としている。▲

07/04 非正規差別・女性差別撤廃全国集会 @神戸

【7月4日 非正規差別・女性差別撤廃全国集会へ】

派遣法廃止せよ!
有期雇用=「解雇つき雇用」をうちやぶれ!

講演:
「介護・福祉職場の労働実態」
白崎朝子さん
(安全な労働と所得保障を求める女性介護労働者の会/著書『介護労働を生きる――公務員ヘルパーから派遣ヘルパーの22年』

◆日時:2010年7月4日(日)午後1時30分~4時30分
◆場所:神戸市立兵庫勤労市民センター 講習室
  JR[兵庫]駅北側、神戸高速[大開]駅南へ徒歩5分
◆集会内容:基調報告、講演、各地職場報告――介護職場の非正規女性労働者・官公労の派遣労働者・大学の非正規労働者からの報告
◆参加費:700円

■集会後、デモがあります。

***全国集会賛同カンパのお願い***
個人・団体とも一口1000円
郵便振込口座番号:00940-1-148754
加入者名:労働者女性解放集会実行委員会