■有期契約労働者:規制強化へ議論 厚労省、権利保護で
(2010年12月23日22時13分『毎日新聞』)
http://mainichi.jp/life/job/news/20101224k0000m040068000c.html
厚生労働省は、契約社員など期間を定めて働く「有期契約労働者」の権利保護のため、採用にかかわる規制を強化する方向で法整備の議論を始めた。有期契約労働者は働く人の1割を超えるものの、規制が緩く、同省は対象業務の絞り込みなどを模索している。しかし、非正規雇用の規制強化には企業側の反発が予想される。【鈴木直】
厚労省は12年の通常国会への関連法案提出を目指し、10月から労使の代表らでつくる「労働政策審議会」(厚労相の諮問機関)で検討を始めた。約1年かけて議論し、来年12月ごろまでに結論を出す方針だ。だが、実質的な議論に入った11月29日には、労働側代表が「現状では雇用が不安定だ」と規制強化を求めたのに対し、経営者側は「規制は雇用に悪影響を与えかねない」と懸念を示し、両者の隔たりが鮮明になった。
有期契約労働者は1回の契約期間の上限が原則3年で、正社員との待遇格差、身分の不安定さ、職業能力を身につけにくい点などが問題視されている。総務省の労働力調査では、契約期間1年以内の労働者数は751万人。非正規雇用労働者(1721万人)の44%、正規雇用労働者や役職者も含めた全労働者(5478万人)の14%に上る。1年を超える労働者を含めた調査はないが、厚労省は実態調査に基づき約1200万人と推計している。このうち、近年の就職状況の厳しさが影響し、正社員として就職できなかったために有期となった人が4割に上るとされる。
有期雇用への規制は、契約を結ぶ際に規制をかける「入り口規制」と、契約期間終了時の処遇など「出口規制」の2通りある。
「入り口」は、有期雇用契約を結べる業務を季節労働など一時的なものに限定する方法だ。一方、「出口」を巡っては、契約の更新回数や利用できる期間の制限などが論点。1年契約を何回も繰り返す企業に対し、契約期限のない社員としての雇用を義務づけることなどが考えられる。
しかし、企業にとり、業務の忙しさに応じて雇用を調整できる有期雇用は便利なシステムだ。規制が強化されれば採用を抑えたり、人材を求めて海外移転を進める可能性もある。また、個人にとっても、家庭の事情など自分の都合に合わせて働くことができるほか、「正社員より責任が軽い」と自ら有期を選ぶ人もいる。多様な有期労働者を一律に規制するのは難しいのが現状だ。▲
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