集会へのメッセージ(首都圏大学非常勤講師組合委員長 松村比奈子さん)

■第6回 なんで有期雇用なん!?集会に寄せて
首都圏大学非常勤講師組合委員長 松村比奈子

 「第6回なんで有期雇用なん!?集会」にご来場・ご参加の皆さま。本日の盛会を心よりお祈り申し上げます。そして首都圏大学非常勤講師組合より、共感と共闘のエールを送ります。ここ数年の日本の労働環境においては、アメリカを席巻する新自由主義と安倍政権によって、日本国憲法が保障するはずの勤労の権利どころか、個人の尊重も公共の福祉ももはや完全に形骸化しています。民主主義の発展ではなく後退の危機です。
 唐突ですが皆さま、「北斗の拳」という1980年代に発表された漫画をご存知でしょうか。私はおよそ20年間、大学で日本国憲法の講座を担当してきましたが、今の日本は、まさにあの漫画が描く荒廃した時代です。弱肉強食が支配するその階級社会で、主人公ケンシロウは人間の尊厳と正義を追い求めるのですが、それはちょうど、私達労働組合の立場と重なります。日本国憲法はしょせん「絵に描いた餅」であり、それを実現する戦いと努力なしには達成できないものだということを、私はこの漫画やニュースを紹介しながら学生に教えています。ますます私有財産の権力と欲望にまみれつつある現代に、正義は本当に実現可能なのか?ここに集う皆さまひとりひとりが、現代のケンシロウです。
 およそ2年ほど前、当組合は早稲田大学を刑事告発・告訴し、世間の注目を集めました。当時、それは「窮鼠猫を噛む」という扱われ方でしたが、今思えば、あれは教育研究者の総奴隷化に対抗するための、重要なターニングポイントでした。それまで静観していた当事者たち自身が立ち上がるきっかけになり、他大学の盲目的追従もやみました。それはおそらく全国的な傾向でしょう。また関西圏大学非常勤講師組合委員長の新屋敷健氏の奮闘により、さらに国際社会においても日本の労働問題が注目され、有期雇用の在り方全般について、政府はもはや内密に事を進めることはできなくなりました。
 今、安倍政権はなりふり構わずむき出しの支配欲で労働者を使い捨てる法改正を繰り返しています。しかしそのせいで、当組合には多くの組合員が加入し現在は460名を超え、今も拡大し続けています。また注目のおかげで、団交を申し入れるだけで騒動がおさまる事例もでてきました。社会を変えるのは、結局のところ法律の条文ではなく人間の意欲と活動です。そして活動の成否には参加者の数が重要です。それを当組合は痛感しています。ですから今こそ組合をアピールし、労働者の階級化に反撃するチャンスです。全国で活動する様々な組織の皆さまが、この集会につどうことで、積極的に情報交換しながら、人間らしい生活を求めて戦う意欲を新たにされることを願ってやみません。本当に大事なのは私達ひとりひとりの熱意です。皆さま、一緒に頑張りましょう!
平成27年2月28日

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