「自治労「非正規と賃金シェアを」 委員長が処遇改善提案」

■自治労委員長:「非正規と賃金シェア」勧告で削減分転用
 (2010年8月26日13時27分『毎日新聞』)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100826k0000e040057000c.html
 自治労(全日本自治団体労組)の徳永秀昭委員長は26日、徳島市で開かれた定期大会のあいさつで、「正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」と述べた。一例として、人事院勧告に準じて地方公務員の正規職員の給与が削減された場合、削減分を非正規職員に配分する方向で労使交渉を進めることを提案。正規と非正規の格差解消に向け、産別労組のトップが具体的な提案をするのは極めて異例で、労働界全体に影響を与えそうだ。
 徳永委員長は、一部の正社員が賃下げを受け入れて非正規雇用をなくした広島電鉄の例を挙げ、「正規・非正規の均等待遇を実現するためには、もう一歩進んだ運動展開が必要な時期に来ている」との考えを示した。
 自治労が09年に実施した調査によると、全国の自治体の非正規職員は推定60万人。特に財政の厳しい地方の町村では、正規を非正規に切り替える傾向が強く、職員の半数が非正規という状況にある。また、非正規職員の6割が正規職員並みに働く一方、定期昇給はなく、各種手当も支払われないため、8割が年収200万円以下の「官製ワーキングプア」とされる。徳永委員長は「非正規職員が搾取されているのが実態」と現状を指摘した。
 だが、公務員に対する国民の目は厳しく、非正規職員の処遇改善のための新たな原資は見込めないのが実情。人事院勧告に準じて全国の自治体が給与や手当を切り下げた場合、影響額は2340億円になると総務省が試算しており、徳永委員長は格差解消へ向けた原資として着目している。
 地方公務員の労使交渉は自治体ごとに行われる。徳永委員長の発言を受け、各単組がどのように取り組むかが注目される。【市川明代、井上卓也】▲

■自治労「非正規と賃金シェアを」 委員長が処遇改善提案
 (2010/08/26 19:42【共同通信】)
http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010082601000894.html
 自治労の徳永秀昭委員長は26日、徳島市で開催した定期大会のあいさつで「正規職員と非正規職員が賃金をシェアするべきだ」と述べた。非正規職員の処遇改善について、産別労組トップが具体的に提言するのは異例。
 徳永氏は「正規-非正規の均等待遇を実現するためには、もう一歩進んだ運動展開が必要」とし、人事院勧告に準じて地方公務員の正規職員の給与が削減された場合、削減分を非正規職員の処遇改善に確保する労使交渉に入ることを提案した。
 自治労の2009年の調査では、全国の自治体の非正規職員は約60万人。勤務時間が正規職員と同じ非正規職員は全体の28・4%に上るという。徳永氏は「非正規職員の存在が行政サービスを左右するようになっているにもかかわらず、搾取されている」と指摘した。▲

「龍大は継続雇用を 第1回口頭弁論」

■龍大は継続雇用を 第1回口頭弁論
 (2010年8月20日17:47 京都民報Web)
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2010/08/20/post_7133.php
 龍谷大学(京都市伏見区)に雇い止めされた嶋田ミカさんが、雇い止めは不当と訴えている裁判の第1回口頭弁論が20日、京都地裁(大島眞一裁判長)で行われました。
 嶋田さんは、同大学経済学部の「特別任用教員助手」として2007年4月に3年間の有期雇用で採用。今年3月末に契約満了として雇い止めされました。嶋田さんは採用時に、人事担当者から「1回はよほどのことがないかぎり契約更新する」と説明されていたため、「継続雇用されないのはおかしい」と訴えています。
 口頭弁論では訴状が読み上げられました。
 この日、口頭弁論後の報告集会には支援者ら50人が参加。嶋田さんは「大学院に入学して以来、非常勤講師などで16年間も在籍している。なんとしても働き続けたい」と訴えました。
 弁護団代表の畑地雅之弁護士が、他の有期雇用された職員が更新される中で1人のみ雇い止めされることについては解雇無効との判例もあると指摘。「他の教員が少なくとも1回は更新されているのに嶋田さんのみ雇い止めは不当。次回以降の口頭弁論も傍聴席を埋めて、運動で勝利しよう」と呼びかけました。
 次回口頭弁論は、10月29日14時から京都地裁208号法廷で開かれます。▲

京大:5年条項の団交

〈京都大学時間雇用職員組合ユニオンエクスタシー〉が、9月に京大と「5年条項」に関する団交を行ないます。
要求書が読めるようになっていますので、みなさんぜひご覧ください。
http://extasy07.exblog.jp/13140140/

『有期労働契約研究会 報告書(案)』

■第18回有期労働契約研究会 資料(平成22年8月24日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000mrxr.html

【関係記事】
■有期労働契約の規制強化提言=厚労省研究会が最終報告案
 (2010/08/24-20:35 時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010082400876
 厚生労働省の「有期労働契約研究会」(座長・鎌田耕一東洋大教授)は24日、契約社員など雇用の期限が定められている有期労働について、法改正を含めたルール整備を求める最終報告案をまとめた。具体的な検討課題としては、契約を結べる業務を限定することや、現在無制限となっている契約更新回数の制限などを例示。雇用が不安定になりがちな人たちの権利保護に向け、大幅な規制強化を求める内容になっている。
 研究会が近くまとめる最終報告を受け、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)は今秋から審議を開始し、来年度中に結論を出す見通し。厚労省はその後、労働契約法などの改正を含む具体的見直し策を講じる方針だ。
 報告案は、契約更新回数に上限を設ける場合、守らなかった企業へのペナルティーとして、無期の労働契約を締結したと強制的にみなす制度の導入などを検討するよう提唱。また「正社員登用制度」をはじめ、正社員への転換措置を義務付けることも、今後の課題として挙げている。
 有期契約労働者は1985年に437万人だったが、企業が人件費抑制を進めたことなどから2009年には751万人に増え、雇用者の13.8%に達している。08年秋のリーマン・ショック後には、企業が契約更新しない「雇い止め」が続出し、社会問題化した。▲

「厚労省研究会の新雇用政策 構造改革の転換不十分」

■厚労省研究会の新雇用政策 構造改革の転換不十分
 (2010年7月20日(火)『しんぶん赤旗』)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-20/2010072002_01_1.html
 厚生労働省の雇用政策研究会(座長・樋口美雄慶応大学教授)はこのほど、「持続可能な活力ある社会を実現する経済・雇用システム」と題する新たな雇用・労働政策の方向性をまとめた報告書を出しました。
 報告書では、「正規・非正規労働者の二極化」「少子高齢化の進展」など情勢の変化をあげて、「雇用の質の向上」や女性・高齢者らの労働力化、セーフティーネットの強化などを打ち出しています。
 自公政権の規制緩和路線がもたらした雇用破壊と貧困拡大に対応しようという問題意識はうかがえます。
◆提起したのは多様な正社員
 しかし、「雇用の質の向上」で提起しているのは、「多様な正社員」です。「正規・非正規労働者の中間に位置する雇用形態」で、「契約期間に定めがない」ものの、「雇用調整できる」というもの。「労働者には細切れ雇用を防止でき、企業にも非正規労働者を中長期的に戦力化することが可能になる」としています。
 これは報告書自身、「アウトソーシングの手段として利用され、不安定な雇用形態を増大させることにならないよう十分配慮する必要がある」と指摘するように、新たな不安定労働者を生み出す危険性があります。
 一方で、労働者派遣法の見直しや有期雇用のルール改正については「保護の仕組みを強化」などとするだけで具体的内容は示していません。「抜け穴」だらけの政府の労働者派遣法改定案に、“配慮”した格好です。
 失業者らへの就労支援、セーフティーネット強化はどうか。
 まず必要なのは、失業手当の給付期間延長や給付水準引き上げ、対象者の拡大など雇用保険の拡充です。ところが報告書はこうした課題は取り上げず、「常にモラルハザードの可能性を考慮しなければならない」とします。
◆公的職業訓練強化に反して
 職業訓練についても「成長分野の人材育成」などというものの、政府がすすめているのは、雇用・能力開発機構の廃止や全国83カ所の地域職業訓練センターの全廃計画など、公的職業訓練の強化に反する方向です。
 正社員についてはリストラ対策や労働時間短縮などを課題にあげています。しかし、これも「関係法令の履行」など現行の枠内にとどまり、実効ある対策を打ち出せません。
 政府の「新成長戦略」に沿って福祉・介護分野などでの雇用拡大を強調しています。しかし、同戦略は、大企業の成長を最優先にしたもので、「新しい公共」の名によるNPO(民間非営利団体)の活用など公共サービス縮小と民間まかせがベースです。
 民主党政権が「構造改革」路線から脱却できないもとで、報告書も労働者の願いにこたえるには不十分な内容にとどまっています。
 大企業に社会的責任を果たさせ、ためこんだ内部留保を還元させて雇用の危機を打開し、労働条件を改善させていくこと、そのために解雇規制や非正規の正社員化や均等待遇、最低賃金引き上げなど、「人間らしく働けるルール」を確立する方向性こそ必要になっています。(深山直人)▲